確定申告というと、手間のかかるイメージが強いもの。そうした面倒さを少しでも軽減するため、2019年1月から、スマートフォン(以下、スマホ)で確定申告ができる「スマート申告」が始まり、2020年1月からは利用可能対象者が拡大しました。パラレルキャリアでの収入が「事業所得」でなければ、活用できるこの制度。税理士の山口翔さん監修のもと、スマート申告について、紹介します。
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スマート申告は誰が利用できる?
スマート申告とは、スマホで確定申告書の作成から提出までを行える方法のこと。これまでは給与以外の収入がない人に限られていましたが、2020年1月6日からは給与以外の所得がある人も対象になりました。
スマート申告の利用対象者
・給与所得がある人(年末調整済1カ所、年末調整未済、2カ所以上からの給与所得)
・年金収入がある人
・雑所得、一時所得がある人
注意が必要なのは、「事業所得」のある人は利用できないということ。そのため、会社員で副業をしている人にとって、確定申告をしやすくなった、といえます。
スマート申告の利用方法
スマート申告は、国税庁のサイトで「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、手順の通りに金額を入力していき、e-Taxで申告書を送信(電子申告)することで行えます。
e-Tax で送信する場合、源泉徴収票や保険料控除証明書などの一部の書類については提出する必要がなく(※)、還付金を早く受け取ることができるメリットもあります。
e-Taxで申告書を送信するには、2つの方法があります。
※住宅ローン控除関係書類など、一定の書類については提出が必要。提出を省略した添付書類は、法定申告期限から5年間、税務署から書類の提出または提示を求められることがあります。
マイナンバーカード方式
マイナンバーカードとICカードリーダライタまたはマイナンバーカード対応のスマホを利用してe-Taxを行います。スマホの対応機種は、国税庁のサイトで確認できます。
ID・パスワード方式
税務署の職員と対面による本人確認を行って発行された「ID・パスワード方式の届出完了通知」に記載されている、e-Tax用のID・パスワードを利用して、「確定申告書等作成コーナー」からe-Taxによる送信(提出)を行います。発行には運転免許証などの本人確認書類が必要で、近くの税務署に行く必要があります。
事前準備は必要なものの、スマホで確定申告書の作成から提出までできるのは便利といえそう。対象条件に合致している人は、ハードルをぐっと下げられるスマホ確定申告で、はじめてみるのもいいかもしれません。
監修 税理士・山口翔さん●山口翔税理士事務所代表税理士。平成18年に一橋大学商学部経営学科卒業後、平成22年に税理士試験合格、翌年税理士登録、平成24年に開業。会計・税務の専門知識を通じてお客様の人生・経営をサポートする。