テレビ東京 ドラマ24枠で放送中の「今夜すきやきだよ」というドラマをご存知ですか? 金曜深夜、一週間の終わり、いわゆる花金。溜まりに溜まった疲れをお酒でごまかしながら、ほっと一息つくタイミングで、頭を空っぽにして見てほしいこのドラマ。タイトルから想像して、”ただのゆるふわグルメドラマ”と思うなかれ。「今夜すきやきだよ」は、恋愛体質のあいこ(蓮佛美沙子)&アロマンティックのともこ(トリンドル玲奈)による共同生活を中心とした、人と人との様々なぶつかり合いやすれ違いを描きながらも、”食”をきっかけにあらゆる感情が揺さぶられていく“人間ドラマ”なのです。
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対象的なヒロインが生み出す、鳴り止まない共感
同性との共同生活。恋人との同棲生活とは、また違った毎日が想像されます。
完全に偏見ということは重々承知のうえで、男性同士の共同生活はまだしも、女性同士の共同生活はいろいろと面倒なことが起こりそう……なんて思っていました。
ですが、「今夜すきやきだよ」のあいことともこを眺めていると、私はなんて勘違いをしていたのだろうかと勝手に反省会を開いてしまうくらいには2人の関係性が最高で、今すぐ誰かと共同生活をはじめたいとまで思ってしまいます。
内装デザイナーとして働くあいこは、いわゆるバリキャリ女子。言うまでもなく仕事はできますが、家事全般が大の苦手。忙しいながらも人生に恋愛は必要不可欠で、結婚願望も強いタイプ。
一方で、絵本作家として働くともこは、長年仕事がスランプ気味。家事は得意で、ともこが手掛ける料理はどれも格別。そんな彼女は、他人に恋愛感情を抱かない。そう、アロマンティック。
見事に対照的な2人が融合することで、生活のみならず精神のバランスが保たれ、よりよい未来が築かれていきます。
だからこそ、2人の凹凸が顕著にわかり、特にその凹の部分に共感が止まらないのです。
“あるべき論”、なにそれおいしいの?
ここからは、あいことともこ、それぞれが抱える”生きづらさ”に焦点を当てましょう。
恋愛体質で結婚願望もあるが、仕事はバリバリしていたいあいこ。家事が苦手ということを言い訳にしているわけではないけれど、できないことを、嫌いなことを無理にする必要はなくない? うん、あいこの言い分、非常にわかります。
「一生奥さんのご飯食べれないってこと?」
「家事なんてみんな普通にやってることなのに」
なぜ、こういうことを平気で言えるのでしょうか。
他人に恋愛感情を抱かない、アロマンティックなともこ。料理ができあがったときの感覚と、作品を作り上げたときの達成感は似ていると語る彼女。ただただ料理が得意なだけで、昔からあることないこと言われてきました。
「女の子なんだし、普通にOLやって結婚すればいいじゃん」
「これだけ料理上手いんだから、いいお母さんになるよ」
なぜ、こうも決めつけるのでしょうか。
身勝手なあるべき論に、私たちは日々、HPを削られているのです。
一度きりの人生、他人にかまってる暇なんてない
あるべき論が定められるうちの1つに、悔しくも“年齢”という要素は欠かせません。
かくいう私自身、31歳・独身。
それなりにいい年齢になってきて、周囲の友人知人の結婚率もぐんぐん高まってきました。
30歳を超えた頃から、どんな話の延長線上にも「結婚は?」が紐付いてくるような気が……。
あまり気にしないようにはしているものの、実際のところ、結婚している友人と会う回数はどんどん減ってくる一方。それは、価値観や活動時間の変化はもちろんですが、なによりも”置いてけぼりになっていると錯覚してしまう自分と向き合いたくない”からなのかもしれません。そんな自分の弱さとは真摯に向き合わなければならないと、最近、内省していたところです。
幸い、理解ある両親のおかげか結婚を急かされたことは一度もなく、日々自分らしく、仕事に趣味に恋愛に生きることができています。
もちろん、焦りがないのかどうかと問われると、YESとは言えません。
あいこと同じく、結婚願望はあるし子どもだってほしい。家事は人並みにするけど、仕事だってしたいし趣味の時間も確保したい。ただ、その日常を共有できる誰かがいたらどれだけ幸せなことなのだろうかと、考えて眠れない夜もあります。
でも、無理に結婚するのは違う。あくまでも結婚は目的ではなく、愛する人と人生を添い遂げるための手段の1つにすぎないのです。
もういい年なんだから、女なんだから、男なんだから。
そんな悪魔の縛りに囚われて息苦しく生きるより、一度きりの人生、わがままに自分らしさを最優先にして生きていったっていいと思うのです。
魔法の8時間肉、愛が詰まった参鶏湯…深夜にホカホカ癒やされて
とはいえ、頭ではわかっていても、ついつい思い詰めてしまうのが人間の性。
ほらまた、「変わるべき!」と、自分を追い込んでしまっていませんか。
そんなときこそ、「今夜すきやきだよ」の出番。
すぐには変われなくたっていい。同じように日々奮闘しているあいこやともこの姿を見て、「明日からまた頑張ろう」とリフレッシュしようじゃないですか。
あ、あまりにも美味しそうなごはんに誘われて、飯テロ食らって後悔しないようにだけはご注意を。