Paranaviトップ お仕事 資格/勉強 「リスキリング=学び直し」で合ってる…?仕事・学び・キャリアの自律のスパイラル構造を理解しよう『キャリアをつくる独学力』

「リスキリング=学び直し」で合ってる…?仕事・学び・キャリアの自律のスパイラル構造を理解しよう『キャリアをつくる独学力』

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「リスキリングに5年で1兆円を投入」という岸田文雄首相の発表で、ますます注目される「リスキリング」。「学び直し」と訳されることが多いですが、その意味するところはもっと複雑で立体的。キャリア論の第一人者である高橋俊介さんが「大人の学び」を解説した1冊をレビューします。

「リスキリング=学び直し」?

2022年10月の臨時国会で、岸田首相は「個人のリスキリングに5年で1兆円を投入する」と発表しました。日本の経済成長のために、今後ますます求められていくDX人材。その育成にまとまった資金を投入していくのが大方針のようです。

DXスキルのみならず、労働寿命の伸長を見据えて「リスキリング」という言葉にはますます注目が集まっています。技術革新・価値観の多様化……、めまぐるしい変化の時代。個人のスキルも日々アップデートしていかなければならない危機感は、多くの人が実感していることでしょう。

さて、「リスキリング」とはいったいなんでしょう?

日本語だと、「学び直し」と訳されることが多いようです。語学学習やCMなどでもおなじみの通信教育、はたまた思い切って大学院でMBA取得? ぱっと思い浮かぶのはそんなイメージでしょうか。

しかし、ちょっと待ってください。なんとなく面白そうだから、なんとなくみんなやっているから、なんとなく将来が不安だから……、目的意識と主体性に欠ける学びは「リスキリング」とは言えません。

大人にとっての「学び」はどうあるべきなのか? どんな「学び」が幸せなキャリアにつながるのか? そんな疑問にわかりやすく答えてくれる、「大人の学び・心得帳」ともいうべき1冊を今日はご紹介します。

仕事自律・学び自律・キャリア自律のスパイラル構造

キャリアをつくる独学力

『キャリアをつくる独学力―プロフェッショナル人材として生き抜くための50のヒント』(高橋俊介/東洋経済新報社)

著者の高橋俊介さんは、マッキンゼーなどの大手コンサルティング会社を経て人材育成・キャリアを専門に講演活動などを行っているキャリア論の第一人者。高橋さんが慶応義塾大学のキャリア・リソース・ラボでの研究をもとに提唱したのは、「キャリアショック」という概念です。

変化の激しい時代には、必ずしも思い通りにキャリアを進められるわけではありません。コツコツと努力を重ねていても、予想外のタイミングで状況が変わり、積み上げてきたキャリアが崩壊することがある……。そんな「キャリアショック」を乗り越えるために必要なのが、「仕事自律」「学び自律」「キャリア自律」という3つの「自律」。

自律は「自らの価値観や自ら立てた規範をもとに判断し、行動すること」です。――『キャリアをつくる独学力―プロフェッショナル人材として生き抜くための50のヒント』より

同じ語学学習でも、「みんなやってるから」と漫然と学ぶのと、「今の仕事でもっとパフォーマンスを高めるには、英語で情報収集・分析ができた方がいい」と気づいて学ぶのとでは、学びの継続性も真剣度も大きな違いがあるでしょう。そして、学びが仕事に直結するので仕事人としての評価が上がり、新しいプロジェクト・ポジションに挑戦できるようになるかもしれません。

「仕事自律」と「学び自律」の2本の矢印が相互につながり合いながらスパイラルアップすることで、上向きのキャリア自律の矢印がぐいぐい伸びていくイメージです。

自分の能力を爆発させる、「内的動機」を見つけよう!

仕事自律・学び自律・キャリア自律のスパイラル構造はイメージできたでしょうか。

あとはこの3つを稼働させるだけ。ここで大切なのが、何がこのスパイラル構造をドライブさせる「燃料」なのかを見極めること。この燃料が「内的動機」です。

内的動機によりドライブされて能力を発揮するとき、人はやりがいを覚え、ストレスを感じにくくなります。

俗にいう「ハマる」という心理状態です。――『キャリアをつくる独学力―プロフェッショナル人材として生き抜くための50のヒント』より

内的動機」とは、わかりやすくいうと「自分らしさ」を構成するもの。

例えば、「営業に向いている」という人の中にも、分解していくと「競合会社と勝負するのが好き」「相手に感謝されたい」「分かりやすい成果を得たい」など、いろいろな内的動機が見えてきます。どんな内的動機を持っているかは大人になる頃には既に決まっているそうですから、自分の内的動機を知ることは今後の長いキャリア人生に役に立つでしょう。

内的動機を使ってすることが、その人の「勝負能力」。まさに「強み」です。勝負能力を使うとき、仕事も学びもキャリア形成も、自然と自律的になり、また本人の幸福度も上がっていくのです。

リスキリングの目的は、幸せなキャリアを築くこと。

 「何か新しいことを学ばなければ」と焦って教材に飛びつく前に、自分の「内的動機」を見極めて、3つの自律のスパイラルを回すことをイメージしてみましょう。そのことが、ちょっとやそっとの変化では揺らがない、強くしなやかなキャリアを形成する第一歩です。

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梅津奏
Writer 梅津奏

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