Paranaviトップ ライフスタイル 暮らし 家事育児に割く時間、女性は男性の2倍以上? まだ残る「キャリアの壁」の乗り越え方体験談

家事育児に割く時間、女性は男性の2倍以上? まだ残る「キャリアの壁」の乗り越え方体験談

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結婚や妊娠、出産といったライフイベントが続きがちな30〜40代。とくに女性にとって、これらがキャリアの壁になってしまうという悲しい事実があります。パートナーの転勤に合わせてキャリアを手放す人も。その現実と、乗り越え方について女性4名に本音でトークしていただきました。

日本女性のキャリア形成にはまだまだ課題が山積み

「M字型カーブ」という言葉をご存じでしょうか。日本女性の労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口の割合)は、出産・育児の中心時期である30代に低下し、その後復活するという現象です。これは日本独特の現象で、出産・育児による女性のキャリア断絶問題の象徴として、昔から指摘されてきました。

この背景には、家事・育児の負担がいまだに女性に偏っていることが挙げられるでしょう。既婚男女2350名に家事の分担割合を聞いたところ、男女ともに最も多い回答は「妻9割・夫1割」だった(女性:34%、男性:28%が回答)という調査もあります。※出典:リンナイ「「夫婦の家事分担」に関する意識調査」(2023年1月発表)

コロナでテレワークが広まり、男性が家事・育児に参加しやすくなったという声もあります。ただ「令和3年版 男女共同参画白書」(内閣府)によると、2019年から20年にかけて男性の育児時間が増加したのと同様に、女性の育児時間も増えています。一方で家事にかける時間については、ほぼ変化がありません。このことから、女性が男性の2倍以上の時間を家事・育児に割いている傾向は、コロナ前後で変わらないとわかります。

aiyueyo 座談会

なお、最近はそもそも婚姻率が下がっていること、子どもを持たない人生を選択する人が増えていること、そして全体的に労働力率が上昇していることなどから、M字カーブは少しずつ改善されてきています。

それぞれのキャリア、それぞれが直面した「壁」

こうした課題がいまだに残る日本社会、女性はどう感じているのでしょうか? 「自分軸」をベースに時間や場所にとらわれない働き方を提唱する、正社員0人の異色企業を運営するコミュニティ「aiyueyo」で働く女性4人に聞きました。

ーーみなさんは、これまでどんなキャリアを築いてこられましたか。

aiyueyo ちかさん

ちか

私は前職で8年ほどホテルに務めていましたが、キャリアパスに漠然とした不安を抱えていました。キャリアを変えよう!と決意したのは、結婚してからです。コロナ禍でおうち時間が増えたこともあり、家族との時間を最優先にして生きていきたいと考えるようになりました。また女性向けキャリアスクールに入っていろんな価値観に触れ、夢だと思っていた”リモートワーク”という働き方が私にも可能なんだと気づいたんです。世界の幅がぐっと広がりましたね。
aiyueyo ようこさん

ようこ

私は前職が教員だったので、場所や時間に縛られない働き方は自分には実現不可能な、遠い世界のように思っていました。その頃は残業も多くて、将来は子どもがほしいと思いながらも、育児との両立に不安が拭えませんでした。好きなことを生かして、いつかフリーランスデザイナーとして働けたらいいなという憧れはありましたが、未経験から飛び込む勇気はなくモヤモヤしていたんです。そんなとき、aiyueyo代表・阿部成美さんの「自分も世界もごきげんに」「らしい生き方を楽しむ」という発信をみて、私も本当にやりたいことに挑戦し、自分らしい生き方をしたい! と思いました。
aiyueyo さえこさん

さえこ

私は転勤族の妻なので転勤の多い環境、かつ子育てをする前提でそれを実現しなければならない状況でした。そこが、どうしても自分1人で戦っている感じがして、孤独感が否めなかったんです。そんな思いを抱えてネットでたどり着いたaiyueyoに参加したところ、私と同じように考えている仲間がいると知って、すごく心強いなと思いました。
aiyueyo ゆかさん

ゆか

私はもともと、「素敵なお母さん」になるのが夢でした。でも、年齢を重ねていく中で、だんだん妊娠・出産が現実的ではなくなっていって。今は大分県に移住して、フリーランスとして複数の仕事を掛け持ちしながら夫と犬と暮らしています。2021年ごろ、aiyueyoのコーチングプログラム「ナエドコ」が始まることを知って、興味を惹かれて参加しました。その後「フードギフトカタログ販売プロジェクト」など新しい取り組みが始まって、どんどんaiyueyoへのコミットが深まっていったんです。

仲間を見つけて、自分の得意なことで支え合う

ーーみなさん、それぞれの「壁」があったんですね。キャリアにも生き方にも1つの正解がない時代、壁を乗り越えていくために必要なことは何でしょうか。

aiyueyo さえこさん

さえこ

似た立場の人たちを見つけて、つながることが大事だと思います。私も仲間が欲しくて、SNSで探した末に出会ったのがaiyueyoでした。自分の考えややりたいことを全肯定してくれる人たちがいて、そこが自分の居場所になると思うと力が湧いてくるし、とてもうれしいことです。
aiyueyo ようこさん

ようこ

キャリアでいうと、1つひとつの仕事のご縁を大事にして、信頼関係を築くことだと思います。経験が少なくても、地道に実績を積んでいけば、そのうち仕事が仕事を呼んできてくれるようになりました。それから、子育てや家事については、自分1人で頑張ろうとせず、家族や周囲の人など、頼れる人にたくさん頼っています。私は産後3カ月で仕事復帰したこともあり、平日の日中、集中して仕事をしたい数時間は母が娘を見てくれていて、今年の春からは週に2日、保育園の一時保育を利用しています。夫と3人でスケジュールを共有しながら、チームで子育てをしているイメージ。また、私はわりと仕事量を調整できる働き方なので、できるだけ仕事を詰め込みすぎないように、自分の心地よいペースを探りながら調整を繰り返しています。
aiyueyo さえこさん

さえこ

育児などで仕事に割けるリソースが限られている人は、仕事相手に「私は子育て中です」と伝えておくことも大事ですよね。事情をオープンにすることで、ある程度調整をしやすくなると思います。
aiyueyo ゆかさん

ゆか

子どもがいるかどうかにかかわらず、上手に周りを頼ることは大事ですね。いかに「自分の居心地のいい環境を選ぶか」にかかっているように思います。個人が1から環境をつくるのは難しいですが、そのときのベストを選び取っていくことはできるはず。迷ったときは、自分にとっての「心地よさ」を大切にしています。
aiyueyo ちかさん

ちか

私は前職のとき、忙しくて毎日疲れ切っていました。そんな状態でいい仕事はできませんから、今は「心身ともに健やかに働くこと」をいちばん大事にしています。得意なことに特化したほうが、自分も周りもハッピーですよね。最近は、とにかく何か新しいスキルを身につけよう! という風潮があるけど、むしろ逆だなと思います。得意なものや好きなことを1つでいいから見つけて、それ以外を手放したほうが幸せに生きられるんじゃないかな。

aiyueyo 集合写真

aiyueyoメンバーの皆さんが集合!中央が代表の阿部成美さん(画像:ちかさん提供)

揺らぎを許容しあうチームだから、心地よく働ける

ーー育児とキャリアとの両立は、令和になった今でもよく話題に上がります。みなさんが感じることはありますか?

aiyueyo さえこさん

さえこ

出産前は「私、かっこよく働くお母さんになるんだ!」と気合いを入れていましたが(笑)、実際に産んでからは、特別なことではないなと感じています。「ママ」という生き物に生まれ変わるのではなく、あくまでも過去から地続きの自分の人生を生きていて、その中の一部がママの姿という感覚です。
aiyueyo ゆかさん

ゆか

ベースに「自分の人生」があって、その上に仕事や働き方、家庭が乗っかっている感じがいいですよね。仕事も家事や育児も、自分に合ったやり方を選びたいです。
aiyueyo ようこさん

ようこ

私は、産後はできないことばかり増えるものだと思い込んでいました。世の中に「子育ては苦労と我慢の連続だ!」みたいな情報が溢れていて……まるで、ママになった瞬間自分の人生を歩めなくなると思っていたんです。でも、いざ産んでみたら、娘の存在はエネルギーでしかありません。この子がこれから生きていく世界をもっとよくするために、私は頑張って働くぞ! って思えます。
aiyueyo ちかさん

ちか

aiyueyoでは、組織のルールとして「揺らぎを許容する」というものがあります。体調やプライベートのことなどで、仕事の効率が下がってしまう時期は、誰にだってあるもの。Slackにも「揺らぎ共有チャンネル」があって、自分の体調や夫婦のこと、子育てのことなどをオープンに共有できるようになっています。相手の状況をよく知らない間柄だと「この人忙しそうだし、こんなお願いしちゃダメかな?」と遠慮してしまいますが、知っていればスムーズにサポートし合えるし、お互いに気持ちよく働ける気がしています。
aiyueyo さえこさん

さえこ

私は出産後、働ける時間が限られている分、合理性を追求して動くようになりました。ダラダラ長時間働くことがなくなって、決断力もついたと思います。

ーーみなさん、ありがとうございました!

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さくら もえ
Writer さくら もえ

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