よく寄せられる「自由に生きようって言われても、自分のやりたいことがわからない!」というお悩み。そんな方に向けて今年の5月、書籍『未来がヤバい日本でお金を稼ぐとっておきの方法』(ダイヤモンド社)を出版した南祐貴(セカニチ)さんと、イラストレーターのゆんさんが「やりたいことの見つけ方」をテーマにオンラインイベントを行いました。2人の挫折体験も含めた、赤裸々トークをお楽しみください!
※2023年5月、「丸善・丸の内本店」の主催で行われたイベントの内容を記事化しています。
Contents
「挫折した経験」を振り返ると、やりたいことが見えてくる
――自分のやりたいことが見つからない人は、どうしたら良い?
ゆん
11年間、毎日読んでいるのはすごいと思います。
セカニチ
自分が挫折することって、ほかのみんなも同じように挫折しやすかったり困ったりしているんです。例えば、就職後の仕事内容のギャップ・激務で人間らしい生活ができない・将来のキャリア設計ができない……など。こうした挫折を、むしろ自分の活動モチベーションにして、ほかの人が助かるような発信を続けると一気に人生が上向きます。助けた相手からは感謝されるし、自分がやりたいことも見えてくるんです。
人から感謝されたことを振り返り、尊敬する人を見つけよ
セカニチ
2つ目は、「感謝された瞬間」を思い出しましょう。これは大きなヒントになります。例えば学生時代のアルバイトでも一度は感謝された経験があるはず。自分が何かしら価値を発揮できた瞬間を振り返ると、「もしかしてこんなことができるかも?」とアイデアが広がります。そして3つ目は「尊敬している人を見つける」こと。その人たちの共通点を探すと、自分が価値を感じる軸が見えてきます。
ゆん
「私はなぜこの人を尊敬するのか?」しっかり考えて言語化すると、ヒントになりますよね。ちなみに私は手塚治虫さんを尊敬しています。とくに、人気が落ちている時期に描きはじめたという「ブラックジャック」が好きです。
セカニチ
私は池上彰さん。お金/経済/政治系で「わかりにくいことをわかりやすく説明する」ってすごい能力だと思うんです。いろんな人に会って、尊敬する人を見つけてください。人生を変えるのに「今さら」「もう遅いかも」ってことはありません。「人生100年時代」です。タバコさえ吸わなければ長生きする時代です。50歳だってまだ半分。人生長いので、今からでもいろんなことにモチベーション高く取り組むべきです。
――好きなことが見つかったら、それを仕事につなげたい。どう動いたら良い?
ゆん
仕事にするためのポイントは3つあって、「好きなことを見つける」「好きなことを生かして、人の役に立てることを見つける」「行動で示す」です。好きなことは、お花でもピアノでも映画を見るのでも、何でもOK。さらに、それを使って人の役に立てることが必ずあるはずです。
セカニチ
小さくても良いから、まず「始めてみる」「やってみる」の姿勢が大事ですね。雑でも下手でもOKだから、やってみないと始まらない。最初からすごいものを目指して、行動を起こさない人が意外と多いんです。逆に、やってみるだけで差をつけられます。
――行動に移してみたものの、なかなかお金を稼げないという人も多いようです。
ゆん
最初からいっぱい稼げる人なんて、そうそういないと思います! 私も、人生で初めていただいた仕事の謝礼は、茶封筒に入った図書券500円分でした(笑)。すごく大きな絵を、2週間みっちりかけて描く仕事だったので、割に合っているかといったら全然合っていませんが。それでも嬉しかったし、続けていけば結果的にお金もついてくると思います。商売の勝算とかは考えずに、ボランティア感覚でやっていたら仕事につながりました。
セカニチ
お金を稼ぐために、必ず大事になるのがSNSのフォロワーです。何かの講師をするにせよ、ものを売るにせよ、フォロワーが多い方が絶対に有利です。そしてフォロワーを増やすには「困っている人を助ける」のが近道です。それを続けるうちに、人気が出てフォロワーもだんだん増えていきます。
好きなことをコツコツ続けていけばお金も稼げるようになると気づいた
――ゆんさんはどうやって、フリーのイラストレーターとして活躍するようになった?
ゆん
私はありがたいことに、好きなことを仕事にできています。学生の頃に世界史が好きで、授業の内容をイラストにしてノートにまとめていました。簡単な似顔絵を描いたり、概念を擬人化したり。そのノートが、周りの友達から「わかりやすいね!」って好評だったんです。その後、大学生になって、グラフィックレコーディング(議事録を絵でまとめること)を知ったとき、「あ、これ私がずっとやってきたことだ」と気づいて。せっかくだから続けていって、誰かの役に立てないかな? と考えたのが始まりです。
セカニチ
授業の内容をイラスト入りでわかりやすくまとめる能力は本当にすごいと思います。
ゆん
大学院2年生の頃、父から勧められて日経新聞を読んでいたので、記事の内容を「NIKKEIグラレコ」としてInstagramに上げ始めました。それがイラストレーター・ゆんとしての第一歩でした。いろんな企業と仕事をさせてもらううちに、少しずつだけど着実にお金も稼げるようになったので、このままコツコツ頑張っていけば食べていけるという手応えがありました。結局就職はせず、フリーランスとしてやっていくことに決めたんです。
――そこからどうやって仕事の幅を広げていったのでしょうか。
ゆん
私は描いたイラストをまとめて、周りの人に見せるようにしています。「こんな仕事をしました」ってnoteに書いて公開するのも欠かせません。ご縁のあった方に「私はこういう絵を描きます」と伝えて、知ってもらう。大学院の同級生たちとは全然違うキャリアになっていますが、今、とても幸せです。
セカニチ
ゆんさんのように、自分の道を決めて絞るのもかっこいいですよね。闇雲にたくさんの人を真似しても、浅く終わってしまいます。それでは差がつかないし、時間を浪費するだけで生産者にはなれない。自分で稼ぐなら、市場の平均よりを上回るパフォーマンスをすれば良いだけ。そのボーダーは意外と低いです。ちなみに私は広告代理店にいた頃、社内のシステムの使い方・業界の専門知識をたくさん覚えましたが、それらは独立した瞬間に「無価値」になりました。ごく狭い世界だけで通じるものを身につけても資産になっていない。一般的な労働市場ではなんの価値もないんです。だから「この仕事は自分個人の資産になっているか?」という視点が大切です。
ゆん
私も、この1年だけでも挫折したことがたくさんあります。修正したり、スケジュールが伝わっていなかったり、作ったものが意図しないように編集されてしまったり。そこから仕事の進め方を変えたり、契約の仕方を変えたりしています。1人で悩んでいると塞ぎ込んでしまうので、周りの人に聞いてみましょう。壁打ちすると、自分にとって当たり前にできることでも、他の人からするとできないこと(=価値があること)が見つかると思います。皆さまが輝ける場所は必ずありますよ。
セカニチ
私も「当たり前にできること」に価値があると気付きました。例えば日経新聞を読み続けること。コツは、ハードルを下げること。見出しをざっと見るだけでもOKです。「読む」というより「見る」感覚で慣れていきましょう。業績絶好調な企業は絶対に話題になるので、見出しだけ見ていても情報が入ってきます。それから、前日の新聞は、まだ読んでなくても捨てましょう。新聞は、マグロと同じで「鮮度が命」。美味しいところだけをつまみ食いして、あとは捨てる意識が必要です。
――自分の価値を地道に上げてきたお2人。プロとアマチュアの違いはどこにあるのでしょうか。
セカニチ
相手の期待に、安定的に応えられるのがプロです。そして、自分が提供できる価値を言語化することで、「あなたが欲しい!」と思われることがキャリア形成。例えばゆんさんは、イラストを描くことで「難しいことをわかりやすく伝える」という価値を生み出していますよね。行動する人としない人の間には、ものすごい格差が生まれます。最も恐れるべきは「行動しないリスク」。行動する勇気を持って、自由を手にしましょう!
セカニチ
3つのポイントがあります(以下のイラスト参照)。1つ目は「挫折した経験」を振り返りましょう。私も実はたくさんの挫折を経験してきましたよ。新卒で大手広告代理店に就職しましたが、毎日深夜残業で疲弊しました。キラキラした都心のオフィスで働いて、25歳で年収1000万円! という広告マンライフを思い描いて入社したものの、現実とのギャップがすごかったんです。毎月100時間の残業は当たり前で、心身がボロボロになりました。散財ばかりで、毎月のお給料日を待つだけの人生。「1秒でも早く会社を辞めたい」と思っていました。
しかし、日経新聞を読む習慣をつけたら人生が激変。お金、税金、投資の知識がつきました。給料以上にお金を増やせば、給料に首ねっこを掴まれることなく、自分の人生を取り戻せると気づいたんです。習慣を変えることで人生がどれだけ変わるか、自由に近づけるかわかった。とにかく会社を辞めたい一心で、日経新聞を読み続けました(笑)。