Paranaviトップ お仕事 働き方 高待遇かつ自由な働き方。隠れ優良職業「CRA(臨床開発モニター)」の魅力

高待遇かつ自由な働き方。隠れ優良職業「CRA(臨床開発モニター)」の魅力

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新しい薬が生まれる前、開発の現場で必ず行われる「治験」。この流れを中心にサポートするのが、CRA(Clinical Research Associate/臨床開発モニター)という職種です。ニッチな職業ながら、実はホワイトな働き方であり、かつ働きがいが詰まった仕事。しかも会社によっては、同年代平均の約2倍の年収(!)に届くそう。今回は、CRA7年目のゆなさんにインタビュー。CRAの面白さと、パラキャリの楽しさについてじっくり伺いました。

高待遇でありながら、自由な働き方が可能

――CRAはあまり聞きなれない言葉ですが、具体的にどんな仕事をしているんですか?

薬を開発する時の臨床試験に向けて、病院の選定や病院への治験実施の依頼、治験中のモニタリングなど全体を見る職種です。私は、製薬メーカーではなく、製薬メーカーから治験を受託している外資系企業(CRO:開発業務受託機関)の社員です。

専門職であることを考慮しても、年収は同世代平均の倍以上とかなり高いし(※)、ボーナスも毎年必ず出て、さらにインセンティブがあることも。待遇はかなりいいと思います。私の会社では、CRA全体の6〜7割ほどが女性です。
※出典:国税庁「民間給与実態統計調査(令和元年分)」

――CRAとして働く中で、いちばんやりがいを感じるのはどんな時ですか?

試験で定められている目標症例数を達成した時です。治験ごとに設定されている目標数があり、難易度の高い試験ほど条件に合う患者さんが少ないケースが多いんです。最近は難病や希少疾病の方に向けた薬の臨床試験も多く、条件に合致する患者さんを先生や病院のスタッフに探していただくことが難しいと感じています。

そこで、医師の方やスタッフさんと相談しながら、条件に合う患者さんを探して治験に参加していただくように依頼するんですが、これが実って目標数に達したときの達成感はひとしおです。CRAの仕事は数字で表せない部分ばかりなので、目に見える成果を出せると、ぐっとモチベーションが上がります。

――日常業務は、具体的にどんな働き方なんでしょうか。

CRA6年目のゆなさん

私の会社では、CRA1人で8つほど(※疾患の難易度による)の病院を担当します。在宅勤務がベースで、月に2、3回ほど外勤もあります。取引先の製薬会社や取り組んでいる治験の内容、担当している病院によって変わると思います。私は福岡や山梨などに出張することもあって、まったくマンネリ化しません!

1日1時間以上働ければ勤務日とみなされ、月単位で労働時間の調整が可能です。1日7.5時間働く場合は「22時~朝5時以外」ならOK。担当の業務をちゃんと果たしていれば、特定の場所や勤務時間に縛られず働けてストレスフリーです。かなり自由な働き方と言えると思います。一時的に忙しい時期もありますが、それが過ぎれば有給を取って息抜きできるのでメリハリもあります。やりがいは大きいですが、心身の負担が大きい仕事だと感じたことはありません。

パラレルキャリアで、CRAと薬剤師を両立

――ゆなさんは、CRAでありながら薬剤師としても働いているそうですね。そのきっかけを教えてください。

私は2018年に薬学部を卒業してCRAになりました。大学で薬学を学んでいたので、薬剤師の仕事に興味があったし、実際に薬剤師の資格も持っていました。CRAとして3年働いて、1人で仕事を一通り回せるようになったころ、ちょうどコロナ禍がきて。何か新しいことを始めたい、家に引き篭もる土日を変えたいと思ったのがきっかけです。学生の頃にお世話になっていた薬局に相談したら、親身になって私のキャリアを考えてくれたので、そこで働くことに決めました。

割合としては、週5(7.5時間×5)でCRA、週1(4~6時間)で薬剤師、という感じです。ただし、CRAの仕事は有給休暇を取りやすいこともあり、少なくとも月に1,2回は有給を取っています。上司も含めて、職場のみんなが自由に有給を取っている印象があるので、私も気兼ねなく取れる環境です。また、薬剤師の副業を始める前にCRAの上司に報告したら、「副業を通して、ほかの世界を見てきてね! 心身のバランスは崩さないように気をつけて」と言われて、改めていい職場だなと思いました。

――CRAと薬剤師のパラキャリをしていて、よかったことはありますか?

CRAとして開発に携わった薬が市場に出た後、薬剤師として薬局で患者さんにお薬をお渡しすることがあります。こうやって誰かの役に立つんだ、と思うと感無量ですね。薬局の現場で患者さんの生の声を聞くことで、CRAの仕事にさらに誇りを持てるようになりましたし、よりモチベーションが上がりました。

自分が少しでも関わったものが世の中に出ていって、誰かの健康や生活を支えているとわかると、すごく達成感があります。CRAと薬剤師、両方の現場にいるからこそ感じられるやりがいだと思います。

――本業とのギャップを感じたことはありますか?

CRAは変化の多い仕事で、職場でもルールや習慣をどんどん変えていく文化があります。一方で 薬局は、決められたルールがしっかりあって、それを守りつつ、正確に薬剤を調製すること。そして、処方内容に誤りがないか正しく気付くことが大事。そのバランス感を知りました。

――周りに、パラキャリをしている人はいますか?

います! 会社では「医療関係の副業はOK」というルールなので、CRAとして働きながら、薬剤師や医師としてパラキャリしているようです。

私はパラキャリによって人生の密度が上がったし、すごく有意義に過ごせています。ただ、休日を削って働くことになるのは事実。そこを乗り越えられる人には、ぜひやってみて! と勧めたいです。

上司や同僚に恵まれた環境で、CRAとして成長できている

――CRAについて、もっと詳しく教えてください。世間一般にはさほど認知度が高くない職種だと思いますが、ゆなさんは、CROという職場をどうやって見つけたんですか?

私は、家族が病気になった経験から、新薬開発に携わって少しでも早く患者さんの手元に薬を届けたいと思っていました。が、製薬メーカーの新卒採用枠は狭き門で。どんな道にいこうか悩んでいたところ、大学の教授と先輩からCROの存在を教えてもらいました。入社後にわかったのですが、CRAとして経験を積んでから製薬メーカーに転職する人、コンサルティングなどの他業種に転職する方もいます。

CRAについて調べてみると、仕事内容はもちろん、薬剤の知識を生かして働けることや、外勤や出張があることを知りました。私の経験や知識を生かしながら、理想的な働き方をできると知って、CRAを目指そうと決めました。

その中でも今の会社に決めたのは、説明会で上層部の方が「仕事は経験が7割」と言っていたのが印象的だったからです。社会に出たら、とにかくいろんなことを経験したいと思っていたので、社風が合いそうだと感じました。CRO業界の中でもシェアが大きく、安定していると思ったことも決め手です。スーツを着てバリバリ働くかっこよさにも憧れました(笑)。

――同僚や先輩には、どんな方が多いんでしょうか?

元看護師、元検査技師など中途採用の方も多くてバックグラウンドがバラバラなので、みんなのキャリアの話を聞くのも面白いですね。お子さんがいる方たちは、希望を出して内勤が多い部署に異動したり、担当業務が内勤メインになったりと、個別の事情に合わせて工夫しながら働かれているイメージです。

恵まれているなあと思うのは、上司が私のキャリアをしっかり考えてくれていること。難易度が高いがんの治験を担当してステップアップしたいなと思い、上司に相談したところ「スキルの幅を広げるのも大事だけど、マネジメント能力を伸ばして独自の強みを持つのもいいんじゃないか」とアドバイスをもらいました。YES/NOの答えじゃなくて、上司としての考えを提案してくれるので信頼できるし、相談してよかったなと思いました。

――CRAとして働く人に、必要なのはどんな能力でしょうか?

何よりも、コミュニケーション能力ですね。製薬メーカーの方や病院のスタッフさん、社内のチームメンバーなど、毎日たくさんの人と連絡を取る仕事です。それから、タスクの優先順位をつける力。PCを使う仕事なので、事務処理能力も大事だと思います。

また、たくさんの資料を読み込む業務も多いので、完璧主義ではない人。まずはざっくり全体像を掴んでから、必要な部分に絞って深掘りしたり、わからない箇所は周りに助けを求めたりと、自分なりに工夫できる方は向いていると思います。

――これからのゆなさんは、どういうキャリアを築いていきたいですか?

次のステップとして、CRAのプロジェクトリーダーになることが目標です。それから今後もパラレルキャリアを続けていって、後輩たちに「こういう働き方もアリなんだよ」って伝えていきたい。知らなければ、パラレルキャリアという選択肢を取ることもできないと思うので。

私なりに情報を発信して、みんなのキャリアの可能性を広げるチャンスを作っていきたいです!

CRA6年目のゆなさん

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さくら もえ
Writer さくら もえ

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