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「自分を大切にする」ってどういうこと?精神科医が伝える上手な方法

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何かに悩んだり、つまずいて落ち込んだときに、「もっと自分を大切にしよう」とアドバイスされたことはないでしょうか。最近は自己啓発本やネットのコラムなどでも目にすることがあるかなと思います。とはいえ、自分で自分を大切にすることになんとなく抵抗がある方、「大切にするってどういうこと?」と悩む方も多いようにお見受けします。今回は、自分を大事にすることでどんなメリットがあるのか、そして具体的な方法について考えてみようと思います。

「自分を大切にする」ことのメリット

「自分を大切にすると、どんな良いことがあるのでしょう。この行為は、精神的にも身体的にも大きな作用があります。一人ひとりが“幸せ”だと感じられる精神面、そして健やかに毎日を過ごすため、ヘルシーな毎日を送るため、私たちの心身の健康にとって非常に重要なのです。その具体的なメリットをいくつか挙げていきましょう。

精神的な面から見ると、自分を大切にすることは、自分に目を向けてあげることから始まります。いまの自分が疲れているのか、楽しいのか、まずは自分を知らないとどうしようもありません。そんな中で、自分の気持ちに正直になることは、自己愛や自己存在感を持つことにつながります。

こういった類いの言葉は、よく「自己肯定感」と混同しがちですが、完全にイコールではありません。そもそも自己肯定感とは、本来「自分すごい!」というような自信やポジティブとは違うものです。“自己を肯定する”と言っているだけで、“すごい自分を肯定する”というわけではありません。「色々あるけど、そんな自分も良いんだよね!」というのが、本来の自己肯定感です。

自分を大切にする方の自己肯定感はまさにそっち。このような「私は私で良いんだ!」という自己肯定は、ストレスや不安を軽減することができます。要は自分を大切にすることで、自分の価値を認識し、困難な状況に直面しても自己を責めすぎることなく、状況を客観視し、これからどうすれば良いのか前向きな思考を維持することができます。

また、本来の自己肯定感が高まることで、自己効力感も向上します。「私なんて」が「私だからこそ」に変わり、目標達成のためのモチベーションが強くなります。

心身の健康、人間関係にもいい影響がある

次に、身体的な健康への影響を見ていきましょう。自分を大切にするとは具体的に、自分自身の状態を把握し、疲れているときには適切な休息をとったり、規則正しい生活をする、身体が欲している栄養をしっかりとる、定期的に適度な運動を行うことが代表的です。そうすることで免疫力が向上し、病気に対する抵抗力が強くなります。

また、ストレス管理がうまくできるようになるため、自律神経が整いやすくなります。不定愁訴と呼ばれるようななんとなくの不調が、身体のさまざまなところに出てくるといった症状の軽減、心地よい睡眠につながります。こういう生活により、心血管疾患や他の慢性的な健康問題のリスクも低減するでしょう。

さらに、自分自身の心身の状態のみならず、人間関係にも良い影響を及ぼします。自分を大切にすることは、心の余裕を持つことにつながります。心に余裕が出ると、他人に対しても心穏やかに接することができます。逆に、心の余裕がないときは、なんとなく人に強く当たってしまったり、変に他人の言葉が攻撃的に聞こえるなどの行動をとってしまい、後々「何でこんなこと言ったんだろう」となってしまった経験は誰しもあることだと思います。

自分を大切にすると、そんな余裕のなさから解放されるため、対人関係においても健全な関係を築くことができるのです。

そういった方は、他人の意見に耳を傾けつつも、過剰に依存せず、自分の価値観や信念に基づいて行動することができるので、人に左右されすぎず、安定した感情で生活できます。自分のメンタルが安定している人の方が、話もしやすいですよね。そうすると、自然と他人からの信頼を得やすく、深い人間関係を築く助けとなります。

自分を大切にする人は、他人に対しても優しさや共感を示しやすくなり、相手を思いやる行動が自然にできるようになるんですね。

自己管理能力は仕事にも役立つ

さらに、仕事においてもメリットがあります。自分を大切にするための根本は、自分を知ること。自分を知って生活を整えると、自己管理能力が高まるともいえます。管理能力の向上は自分だけでなく、仕事でももちろん必要ですよね。効率的にタスクをこなし、次の目標があると、なんとなく時間の制限をかけているときよりも集中力や生産性が向上します。

自分を大切にすることは、バランスの取れたライフスタイルを維持することにもつながるので、日々の生活に対しての充実度も上がります。すると、長期的に見て、キャリアや学業において自分なりの目標を持つことが出来ますし、それによって納得のいくキャリアプランができます。

さらにそれは、自己成長と自己啓発のための基盤となっていきます。自分を大切にすることで、自分自身の強みや弱みを正確に把握し、成長のための具体的な目標を設定できます。意欲がわきやすくなるため、新しいことに挑戦する勇気を持ち、自分の限界を超える経験を積むことにもつながります。

これにより豊かな人生を送る、まさにパラナビ読者にはうってつけではないでしょうか。

具体的な方法

自分を大事にするための、具体的な方法を紹介します。

自分について知る

上記のとおり、自分を大切にするためには、まず自分を知ることが第一条件です。自分を知るというのは、自分が今どういう状態なのか知ること。疲れている、楽しんでいる、何をしていたらウキウキするのか、逆に自分がいらつくことは何なのか。あらゆる自分をまずは知ってみてください。そうすると、自分の感情を受け入れやすくなります。

たとえば、「こう言うことがあるといらつく、悲しくなる」とわかっていれば、その状況を避けることが可能です。“怒らないように”するアンガーマネジメントもありますが、怒りも悲しみもいらだちも、何かに対しての反応なので、それが起きても反応しないようにするのはなかなか至難の業です。お化け屋敷が怖い人がいきなり怖くなくなるようにするのは、かなり難しいですよね? それと同じです。だったらお化け屋敷に行かない方が得策です。

もちろん仕事など、お化け屋敷とは違い切っても切れないところにいらだちがある場合もありますが、なるべく頻度を減らす術になります。

生活習慣を整える

バランスの取れた食事、適度な運動、十分な急速は、心身の健康を保つ為になくてはならないもの。基本中の基本です。

自分の“推し”を知っておく

ストレスは避けられないものですが、それを引き摺ってしまうとせっかくの時間がもったいない時もありますよね。悩んでも解決しない問題であればなおさらです。そんなとき、気持ちをリセットするような自分の“推し”を知っておくと良いでしょう。

人間誰しも、自分の好きな物は多少なりともテンションが上がるものです。このストックが多ければ多いほど、自分のストレスを緩和させやすいですし、まず探すために自分を見つめる時間も作ります。ぜひさがしてみてくださいね。

肯定的な言葉への置き換え練習

私なんてだめだ…とよく感じる方には、とくにやっていただきたいことです。たとえば、“おしとやか”という言葉でも、人によっては“考えていることがよく分からない”ととる人もいるでしょう。逆に、自分の意見をはっきりと言える人を見て、“我が強い”と言う人もいると思います。

要は、見方って人それぞれで、長所にも短所にもなるんです。ですから、すべてをマイナスに捉えてしまう人は、“物の見方は人それぞれ”と頭に入れておいてください。その上で、自分の事も他人のことも、何かしら違和感を感じた時は「でも、もしかしたら違う見方もできるんじゃないか」と考えてみてください。

最初は、そういう前向きな考えを思いついても否定してしまうかもしれませんが、これも訓練です。繰り返していくと、視野も広がり、自分も相手も認めることが出来るようになります。

人間関係の構築

ポジティブな人間関係は、精神的な支えとなります。信頼できる友人や家族とのつながりを大切にし、必要なときにサポートを求めることが大切です。

自分を褒める・あまやかす

自分を褒めたり、甘やかすことも時には必要です。正直、大人になると褒めてくれる人なんてほとんどいません。ですから、自分の事は自分で褒めないといけないんです。

もちろん、何でも褒めろというわけではありませんが、日々生活している中で、自分はできて当たり前と思っても、意外と大変なことはあります。遅刻しない、毎日積極的に挨拶するなど、何気ないことも素晴らしい頑張りです。数字で評価されないことも多々ありますが、そんな頑張りに気がつく人も絶対います。

すぐに褒められることはないかもしれないけど、自分くらいは自分の事を褒めてあげてください。そしてたまにはマッサージやおいしい食事など、自分へのご褒美を楽しむことで、明日への活力がわきます。

空気を読む境界線をちゃんと作っておく

日本人は空気を読んで周りに合わせるのが得意。これ自体は悪いことではありません。空気を読むことは一つの特技だと思います。

ただ、それにより自分が自分の限界を理解せず、無理な要求や過剰な責任を引き受けて疲れては本末転倒です。他人に対して「ノー」と言う勇気も、自分を守るためには必要です。

もし、なかなかむずかしいなら、代替案を提案するのも一つの方法です。「今それは難しいけれど、もう少し後ならこれをできるよ」と話せば、スムーズにしのげるでしょう。

自分を大切にすることは心身の健康、人間関係の向上など良いことだらけ! ぜひ自分自身を見つめ直して、心地よく、自分を大切にすることを実践してみてくださいね!

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木村好珠
Writer 木村好珠

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