こんにちは!作家・教育ジャーナリストの佐野倫子です。「アラフィフになって働きながら&育児と並行して大学院に通ってみたい」というふんわりとした思いつきをリアルにするまでの顛末を書きたいと思います。6回目は、「46歳、3足のわらじを履いて大学院に通う」編です。
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デジタルネイティブになりたかった46歳
アラフィフ・2児の母、付け焼刃ながらに必死で対策をして、東京大学大学院情報学環教育部になんとか合格。喜んだのも束の間、さて、どうやって仕事と家庭と子育てと両立するのか……?リアルな課題が山積みに。
ところで、もし皆さんの身近に東大生がいらっしゃったらば、「東大の新入生登録の手続きは第2回目の入試」なんていう冗談を聞いたことがあるかもしれません。
そんなことはつゆ知らず、いただいた入学手続き書類。子どもが眠ってからおもむろにリビングで広げますが、まあ、簡潔な無駄のない手順書に、システムやPCの設定・登録手順がびっしりと書いてあります。そして締め切りはまあまあ直近。
いえ、マニュアルもきちんと入っているんです。でも、さすが頭のいい人が、頭のいい人向けに作った手順書。
46歳、ITスキル並みの私にはなかなかの関門です。

3日ほどかけてそれらを必死で読み解き、なんとかメールや履修登録システムなどを開通。テストメールが届いて、ひとり、ガッツポーズをきめました。情けなし。
ところが次の関門は、全員がクリアしなくてはならない情報セキュリティ関連の教材学習&オンラインテスト。
数十ページの教材を読んで、オンラインテストに挑みますが、全問正解するまで卒業できない仕組みであえなく敗退。しかもどこを間違えたのかわからない……。
まずい。これは非常にまずい。結構本気で読んだけれどどこを間違えたのか確信がもてません。きっと賢い、若いひとたち、デジタルネイティブたちはこんなの教材を読まなくたってわかるんだわ……。私、一生このテストクリアできないかも。そうしたらどうなるんだろう、アドミッションオフィスから警告がくるんだろうか!?
怯えながら、資料を音読して(古典的)、ポイントを確認、テストに再トライ。
現れた合格の文字!
真剣にほっとしました。いや、今となっては笑い話なんです。でも、裏には切実な恐れと焦りが見え隠れしていました。
心に潜む、ミドル世代の恐れ

学び直し、という言葉が市民権を得るようになりました。リカレント、大人の学び。そうは言っても、いざ自分が勉強をしようと思うとき、頭をよぎったのは「いまさら大学院で勉強してみたい、なんて言って若い人の席を奪ってる?」「物覚えもすっかり悪くなってしまって、テストとかクリアできるのかな……?」
これは今までならば絶対に考えもしなかったこと。若い人こそが学び、それを社会に還元することが正しい、と思っていることに気づきました。ミドルが学んでも、それ今さら何の役に立つの?と。
でも、まあそこは容赦してもらおう、と思えるようになりました。この先は若者のようには時間はないけれど、それでもまだ自分がバージョンアップすることで還元できることはあるはず!そこはずうずうしく行こうと思いました。精一杯、頑張ろう。学んだことはどんどん還元していこう。惜しみなく、誰に対しても。
そして物覚えが悪くて周囲についていけるのか!?という心配は、まだ不要でした。そこは年の功、要領は良くなっているし、とにかくものすごく時間がないので効率よくやるしかない。迷っている暇も落ち込んでいる暇もありませんでした(笑)。
それに周りの若者はみな素晴らしく優しく、自分のことに集中する健全さがあり、人のことを悪く思ったり言ったりするそぶりは皆無。おばさんが浮いちゃう?という心配も皆さんのおかげで杞憂に終わりました。
一歩を踏み出してみたら、そこにには全く新しい世界が広がっていました。そのきっかけは、本当にちょっとしたこと。やってみたいな、をやってみた、それだけでした。
もちろん、解決しなきゃいけないこともありますし、調整が必要なことは山積みです。
——次回は、実際に母業と学生業、そしてフリーランス業を両立する毎日の工夫をお伝えできればと思います。










