Q.「会社ではなく自分自身を頼ってもらうために心がけていることはありますか?」(yuriさん)
A. “自分にしかできないこと”がなくても、“自分だからできること”を探し続けよう!
こんにちは。「パラキャリお悩み相談室」の連載を担当している坪井安奈です。2013年に新卒で入社した出版社を退職し、編集者/タレント/PRとしてパラレルキャリアを始めてから7年。(坪井さんのインタビュー記事はこちら)この連載では、私がこれまで感じてきたパラレルキャリアの実情や経験を赤裸々にお伝えしたいと思います。
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“私は何も持っていない”と自覚した1度目の転職
さて、今回は「会社ではなく自分自身を頼ってもらうために心がけていることは?」という質問をいただきました。
たしかに、自分が立ち上げた会社でない限り、「△△会社だからお願いしたい」と言われるより「〇〇さんだからお願いしたい」と言われた方が嬉しいですよね。そのためには、「自分の強み」を自分自身が知り、相手にも感じてもらう必要があると思います。
私も、まさにyuriさんと同じことを1度目の転職の時に感じました。私は新卒で入社した小学館を1年9カ月で退職し、当時創業1年ほどのグラニというベンチャー企業へ入社しました。そして、転職後に初めて参加した業界交流会のような場で「自分自身は何も持っていなかった」ということに改めて気がついたんです。
小学館は歴史のある会社で、手がけている事業の数も多く、名刺交換をするだけで「△△部の〇〇さん知ってる? 昔、お世話になったんだよね」「神保町のあのレストラン美味しいよね」などと相手が勝手に会話を膨らませてくれるありがたい環境でした。いつも会社の看板に助けられていたんですね。
ところが、新しく働き始めたベンチャー企業では、会社名はもとより事業内容についても知られていないことがほとんど。初対面の人と会話を続けること、そして自分のことを覚えてもらうことはこんなにも難しいのだと痛感しました。
“今できること”を重ねた先の“共通項”が強みにつながる
そこで、私は思いました。「私の強みってなんだろう?」「私にしかできないことってなんだろう?」と。
でも、私は世紀の大発明をしたノーベル科学者なんかではなく、ただの社会人2年目のペーペー。いくら考えてみても、“自分にしかできないこと”なんて思い浮かびませんでした。
よく、就活のエントリーシートや面接などで「誰にも負けない強みはなんですか?」と質問されることがありますが、正直そんなものほとんどの人が持っていないと思います。「誰にも負けない(と思えるほど自信がある)」だけで、社会に出たら同じ強みを持っている人は山ほどいるのです。
では、相手に指名してもらえるような“強み”が見つからない場合、どうすればいいのか?
私は考えに考えた結果、「“自分にしかできないこと”なんてないけど、“自分だからできること”はあるかもしれない」という答えに辿り着きました。
どういうことかと言うと、自分の役割を1つに絞らず、場の状況を見ながら「今、私がこの場で最大限に活躍できることってなんだろう?」という視点に切り替えました。つまり、自分の役割をある程度は柔軟に変えるようにしたんです。
「餅は餅屋」の考え方で、自分よりも得意な人がいれば、その人に任せた方が全体にとってはプラス。だから、そこは素直にお願いして、それ以外の部分で「今、欠けているものはなんだろう? その中で私がいちばんパフォーマンスを発揮できるのはどれだろう?」と考えて行動するようにしました。
そうやって全体を俯瞰しながらカメレオンのように自分の役割を変えつつ、その場でできる自分の最大限を重ねていった結果、だんだんと得意なことの先にある“共通項”が見えてきました。そして、積み重ねたものはいつの間にか実績となり、私は今ようやく「“人と人”や“人と物”の間に入り、想いを翻訳することが私の強みです」と自信を持って言えるようになりました。
人の役割というのは1つではありません。人や社会との関わりの中で変わっていくのが当たり前だと思います。でも、変わっていく役割の中で何かあなたらしい“共通項”がきっとあるはずです。
最初から「これ!」という強みを持っている人なんてそんなにいません。「自分の強みが見つからない」という人は、このようなやり方で自分の役割を全うしながら、“共通項”を見つけていってはいかがでしょうか?
次回のお悩みは「パラキャリするならどんな人との付き合いが大事でしょうか?」です。4月中旬公開予定です。お楽しみに!
坪井安奈(つぼいあんな)● ヒト・モノ・コトの魅力を伝える、複業複住タレント。新卒で入社した小学館を25 歳で辞め、編集者/タレント/PRとしてパラレルキャリアを始めて7年。29歳でシンガポールへ移住。毎月、海外を訪れる“月 1 海外”生活中。