Paranaviトップ お仕事 働き方 子育てマーケター・森田亜矢子さん「変化の時は、自分がいちばん進化できる時」

子育てマーケター・森田亜矢子さん「変化の時は、自分がいちばん進化できる時」

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子育てマーケター、ライター、マザーズコーチングスクール認定ティーチャー、食育アドバイザー、そして2児のママ。両手で収まりきらないほどのパラレルキャリアを築いている森田亜矢子さん。波乱万丈な人生の中でパラレルキャリアを築き上げてきた彼女の、「前に進む力」はどこからくるのか。その秘訣を探りました。

コンサルからリクルートへ。一度壁を超えたら楽しくなった

――「子育てマーケター」って、珍しい肩書きですよね。

はい、自分で命名しました(笑)。子育てについて広く情報収集やマーケティング、情報発信をする人、くらいの意味合いです。私のこれまでを振り返ると、大学を出てからコンサルティング会社で5年、そのあとリクルートで8年働いてから出産・育児、そして1年半ほどの専業主婦期間を経て今に至ります。リクルートでマーケティングをしていたので、子育てとマーケティングの合わせ技ができるんです。肩書きは、自分で作って名乗っちゃえばいいと思いますよ。

――コンサルからリクルートに移られたのはなぜだったんですか?

コンサルって、アサインされるプロジェクトによって、1〜2年でガラリと環境が変わるんです。仕事はすごく刺激的で面白かったんですが、もっと中長期的な人間関係を築いて、連帯感をベースに働きたいと思って転職を決意し、ご縁のあったリクルートへいきました。

――そこでマーケティングと出会うわけですね。リクルートでは8年。長い時間を過ごされましたね。

はい。「仕事は自分で作るもの」「下の名前で呼び合う」みたいな企業文化がコンサルとは全然違っていて、最初は苦労しました。でも一度壁を超えると、周りから一気に認められて、どんどん楽しくなりました。仕事にのめり込むあまり不規則な生活になりましたが(笑)、それも含めてエンジョイしていました。

突然の難病が「いい転機になった」

――順調に、華々しいキャリアを築かれてきて、どこで人生の転機を迎えたんですか?

2011年のある日突然、子宮外妊娠で倒れて、緊急手術を受けることになったんです。さらにその時、再生不良性貧血という病気も発覚。難病で心細いし、治療しながら仕事を続ける自信もなかったし、さらに自然妊娠はもうできないだろうと宣告されて。目の前が真っ暗になりました。

でも少し時間が経つと、いったん仕事から離れて、自分の方向性を見つめ直すチャンスかもしれないと思えてきたんです。すでに5年間リクルートで働いていて、行き詰まり感を感じていたのも事実だったので……。それでリクルートを辞めて治療に専念し、2013年、奇跡的に長女を授かりました。

――会社を辞めるって、すごい決意ですね。

そうですね、でも「仕事をやりきった感」があったので、未練はありませんでした。出産のタイミングは多くの女性が抱える悩みですよね。産んでから10年以上、自分のキャリアにアクセルを踏みきれない状態が続きますから、悔いはないと思えるまで待ってもいいかもしれません。1つの手段として、卵子凍結はおすすめですよ。卵子だけタイムスリップできますから!

アンテナを高く持てるようになったのは「専業主婦時代」

――専業主婦時代を経て、さらに新しいキャリアを踏み出されたきっかけは何だったんですか?

1年半くらい専業主婦生活を楽しみましたが、初めての子育てをする中でいろんな困りごとがあったり、壁にぶつかったりして……。それを同じようなパパ・ママと共有したいと思ったのがきっかけでした。世界の育児法を調べたり情報収集しているうちに、だんだん育児について詳しくなっていき、さらにそれを発信したいと考えるようになりました。自分の生活に直結するテーマなので、とにかく面白かったです。

――会社員時代には考えられなかった広がりですね。

もともと、フットワーク軽くいろいろなことをするのが好きな性格だったのが生きたと思います。逆に会社員時代はとにかく目の前の仕事に夢中で、そういうアンテナは低くなっていたかもしれません。

まずは子育て関連メディアの在宅ライターや、フリーペーパーの在宅編集者をしました。今思えば、これがパラレルキャリアの第一歩でしたね。ライターを選んだのは、自分の気づきを世間に発信するという意味で、マーケティングとライティングは似ていると思ったからです。思考を言語化する能力はどんな仕事をしていても重要ですし、伸ばしていきたいと思いました。

「コーチング」との出会いが、もう1つの武器に

――パラキャリを追い求めたのではなく、ご自身の感じたことがまずあって、それを実現していったんですね。

はい。そして2016年頃、ひょんなことから「コーチング」に出会ったのも転機でした。「人生のゴールをどこに置くか?」「そこにどうやって到達するか?」を自主的に考えて実践していこうという学問です。他人の指示に従うんじゃなく、自分自身ですべてを決めることで、全力でゴールに向かいやすくなるんですよ。

――コーチングと出会って、どう変わりました?

まず「そもそも私はどんな子育てをしたいのか?」という軸をちゃんと考えられるようになりました。うわべの育児テクニックじゃなくて、自分の人生のハンドルを握って進むことができるようになったという感触があります。

それからキャリアについて、マーケティング、コーチング、そしてライターという3つの方向性が見えるようになりました。資格もいくつか取って、いざ世の中に出てみたら、この3つが交差してどんどんシナジーが生まれるんです。面白いですよ!

勇気が出ない人は「業界×職種」のマトリクスを作ってみて

――コーチングは、キャリアに悩む女性たちにも効きそうですね!

まさにそうです。20代から40代の初めは、いわば「人生の踊り場」のタイミング。ただでさえ不安になりがちな時期ですよね。「パラレルキャリアしてみたいけど、特技も資格もない」「一歩踏み出すといっても、そんな勇気ない」と悩んでいる方は多いです。

そういう方々はまず、自分の「業種×職種」のマトリクスを作ってみてほしいです。例えば「IT×マーケ」とか「金融×事務」とか。それを軸として、趣味でもなんでもいいから興味のある分野に傾けてみる。そうすると何かしら見えてきたり、アイディアが生まれたりします。それから、入ってくる情報の質と量もガラッと変わりますよ。

――これまでの経験を生かしつつ、少し新しいこと。それなら勇気が出るかもしれません。

何か変化を迎える瞬間って、「自分が大きく脱皮できる時」でもあるんです。例えば妊娠・出産も、人生の大きな転換期。産む前日と当日ではガラッと世界が変わります。もちろん大変だけど、でもそれを乗り越えるために何か学ぼうとするので、自然とアンテナが立つんですね。私は専業主婦をしていた時、ボーッと過ごすのはもったいないと思って、授乳中に本を読んだりしました。

――波乱万丈の日々の中で、パラキャリを築き上げてこられました。今、どんな未来を描いていますか?

子育てに悩む人たちに、なんらかのソリューションを用意できる「子育てマーケター」でありたいですね。単なる批評家にはなりたくないです。子どもからもらう幸せと、子育てマーケターとして情報発信して掴む幸せは違うから、両方しっかり追いかけていきたいです。

最近、自分の人生にとって大事なものがだんだん見えてきました。だからゴールを見失わないし、他人と比べることもないし、何より自分が進みたい方向に進めている実感があります。これからも、私なりのパラキャリを追求していきたいです!

森田亜矢子(もりた あやこ)●子育てマーケター、マザーズコーチングスクール認定ティーチャー、TCS認定コーチ、PAA認定パートナーシップコーチ、ナーサリーコーチングスクール認定ナーサリートレーナー、食育アドバイザー、ベジタブル&フルーツアドバイザー、アクティブスリープ指導士、ライターとたくさんのパラレルキャリアを実践。まあどれ代表を務めるほか、「東洋経済オンライン」「MAMApicks〜ママになったから見えるものがある〜」「リトル・ママ メディア」「KodomoEdu〜こどものためにできること〜」などに寄稿。

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さくら もえ
Writer さくら もえ

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