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地方でこそデザインの仕事を!Uターンして見つけたパラレルキャリアの可能性

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ウェブデザイナーとして会社員、講師、フリーランスとして活動し、さらに3歳と5歳の娘をもつ母でもある、スーパーパラキャリの菅家郁美さん。地方の女性が抱えるリアルなお金の問題や、仙台で始めた新しい働き方について聞きました。

Uターンで再発見!仙台で”デザインの仕事”が魅力的なワケ

――現在のお仕事スタイルを教えてください。

菅家

株式会社トレンダーズでデザイナーとして在宅で勤務しています。主にウェブデザインを担当していますが、サイトのディレクションや名刺など印刷物のデザインをやることもあります。もうひとつは、週に1度、「デジタルハリウッドSTUDIO仙台」でトレーナーとして受講生の学習のサポートをしています。そのほか、個人でも、ウェブサイトや紙媒体のデザインのお仕事を請け負うこともあります。

――2019年3月から宮城県にUターンして、在宅勤務という形になったんでしょうか?

菅家

在宅ワーク自体は、2度目の育休明けから少しずつ始めていました。当時は、埼玉に住んでいたので週2日出社して、あとはリモートワークさせてもらっていました。今年に入って、夫の仕事の都合と私の意向が一致したので、Uターンで仙台に帰ることにしました。実は、今の会社の最終面接で「5年後は何をしていますか?」と聞かれたときに、「地元に帰ります!」と宣言していたほど、帰りたいという思いはずっとあったんです。今は、月に1回程度、打ち合わせや採用面接などで東京のオフィスに出社しています。

――やはり、子育て環境を考えると地元が安心ですよね。

菅家

そうですね。子どもが小学校に上がるまでには帰りたいなとは思ってたんですけど。でも、実際地元に戻るときは、さすがに仕事辞めなきゃかなと思っていたんです。でも、上長に相談してみたら、まさかの、リモートワークもパラレルキャリアもやっていいよって言ってもらえて(笑)。むしろ、やめた方が自分のやりたいことから遠ざかるような気がしたんです。やりたいことが全部できる今の環境がとても気に入っています。

-子育て以外にも地元(宮城県)で働く理由は何ですか?

菅家

宮城にデザイナーの仕事をもっていきたい」と思っていて。向こうは、最低賃金が安いからお給料も安いんですよね。時短勤務になるとそこからさらに下がってしまい、パートのお給料くらいになっている人も多くて。なので、ウェブとかの仕事を持っていたらこちらでもできるし、関東圏の仕事ならそれなりに単価が高いからいいんじゃないかなと思って。自分が宮城で働くにしても、ほかの仕事に転職するんじゃなくて、ウェブデザイナーやエンジニア、プログラマーに関われる仕事ができたらいいなと思っていました。

あと、ウェブデザインってお母さん向けだなと思って。PCさえあればどこでもできるんですよね。しかも、原価がかからないから始めるハードルも低いなと。お金も、バナー単価って1つ5,000円が相場なんですけど、内容にもよりますがスタンダードなものなら1時間くらいで作れるんですよ。自宅に居ながら、子どもが寝た後とかに1時間仕事して5,000円もらえたらかなり大きいですよね?

――それを聞いて私もやりたくなりました(笑)。デジタルハリウッドでトレーナーを始めようと思ったのも地方ならではの理由ですか?

菅家

地方だと仕事が地元にないので、近隣の市まで車で1.5時間とかかけて通勤するのが普通なんです。ただ、震災や自然災害を考えると結構危ないなと思っていて……。もともと、デザイナーの仕事は、在宅でもできるし地方に合う!と思っていたので、今回、縁あって仙台という関東にもアクセスのいい土地に引っ越してきたし、元々デザイナー育成に携わりたかったので何かやってみようかなと思ったのがきっかけですね。

授業自体は、基本的にオンライン学習なので、生徒さんは自宅で映像を見ながら進めてきてくれます。わからなかったところをトレーナーに質問するというスタイルなので、会社の仕事をやりながらできていますね。あと、本業の採用活動をやっていると、トレンダーズにはデザイナーがいると認知されていないのでは?と感じることが多いので、私がデジハリの講師になることで啓蒙できたらなという気持ちもあります。

パラレルキャリアで得たスキルは自分に還元される

――会社にも還元できるということですね。仙台では自治体のお仕事もされてるんですよね?

菅家

地元に帰ったときに、町の広報誌を見ていたら宮城県で地方創生事業をやることを知ったんです。それで、「私こんなことができるのですが、何かお役に立てませんか?」とメールを送ってみたら、お仕事をいただけたことがきっかけで。ボランティアでもいいかなと思ったのですが、お金を払っていただけることになりパラレルキャリアにつながったという感じです。自治体の仕事だけでなく、フリーランスでウェブデザインのお仕事を受けることもあります。

――パラレルキャリアでデザイナーのお仕事をされることで身についたスキルはありますか?

菅家

会社の仕事では、メディアのデザインをやることが多いのですが、それ以外の装飾の多い派手なデザインが経験できたりするので、自分の引き出しがどんどん増えていく感覚がありますね。また、デジハリで生徒さんに教えるために、もう一度勉強をし直すなど、自分の情報収集の幅・質が変わったおかげで、本業に活かせている部分もありますね。

あとは、トレーナーという仕事柄、どこでつっかかるかなとか、これをやるときにどう検索したら答えが出てくるのかなとかを色々試しますね。それを、どう伝えたらわかるかなと模索していたら、別の仕事でディレクションしているときも、プログラムを詳しくない人への説明の仕方が自然とわかるようになりました。

――常に勉強されているから菅家さんのデザインは素敵なんですね……!

菅家

結局は自分に還元されるからいいかなって(笑)。流行りとか今年のトレンドカラーとか、なるべく間違ったものとか古いものは教えないようにしたいなとは思っています。なので、暇なときにピンタレストにストックしておくのは日課ですね。だんだんキャッチアップできなくなってくるので、拾っていかないと……。去年とかは、シニアのサイトデザインを考えながら、10代、20代のF1層まで、全世代やってたりして。さすがに、シニアの後に10代のデザインを考えたら、落ち着いた色しか出てこなくて……。脳の切り替えが大変でしたね(笑)。

後編につづく

菅家 郁美(かんけ いくみ)● 新卒で宮城県仙台市の印刷会社にデザイナーとして入社。その後、トレンダーズ株式会社に転職。デザイナーとして活動しながら、2019年3月に宮城県にUターン。その他、個人でのフリーランスやデジタルハリウッドSTUDIO仙台で講師としても活動中。2児の母。

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杉森 有規
Writer 杉森 有規

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