パラレルキャリア情報発信メディア「Paranavi(パラナビ )」は、2020年11月で1周年を迎えます。立ち上げメンバーでもある編集長・岡部のぞみと事業責任者の“あちゃこ”こと飯田安紗美の2人が、そもそもの課題提起の原点から、パラナビで実現したい未来まで、「星野リゾート OMO5東京大塚」にて、熱く語りました。
Contents
就活では「一般職のほうが結婚しやすい」と言われた
――1周年の今、改めてですが、パラナビを立ち上げたきっかけは?
岡部 スイスの高級腕時計メーカーが主催する「未来を変革する女性」をサポートする女性向け起業家コンテストで、私たちが起案した、女性特化型副業マッチングサービス「Plus5」が優勝したことです。
コンテストは3度目の挑戦で、応募締め切り2週間前の段階でノーアイデア。もう今年は諦めようかという結論に達した後で、改めて2人で、提案というよりそもそも何をしたかったのかを振り返ったんです。すると、2人とも「やりたいことは、働く女性を応援すること」だと改めて共通の思いを確認しました。世の中の女性が、将来に対して不安に思うことや未来に困ることを解決するのは、自分たちが人生をかけて追求していきたいテーマですし、自分たちの実体験を通しての感覚を反映できると思ったんです。
飯田 みんな30代を前に将来に不安を感じているんです。お勤めはしているけど、派遣で先行きが不安定とか、パートナーの転勤があって定職につけないとか、シングルマザーで時間的にも金銭的にも余裕がないとか。私たちはリーマンショック前後に就職した世代なんですけど、女性がキャリアを築くには壁だらけ。私の出身大学である青山学院大学の英米文学科は、アナウンサーやCA、金融などの花形職業への就職がダメだともうこの世の終わりという雰囲気で……。
――男女雇用機会均等法の施行は1986年、各種差別禁止などの多くが禁止規定になったのが1999年と20年以上たってもまだそんな感じ?
岡部 結婚、出産などライフイベントでキャリアが影響されてしまうのはもちろん、大学受験のときから「女性なんだから、あまりがんばらなくても」という雰囲気はありました。とはいえ、私がいた出版社や女性誌の世界は、多様な生き方・働き方をしている女性がたくさん活躍している世界でした。なので余計に、一歩外に出た世界では、ステレオタイプな働き方しかできず、せっかく有名大学を出ても自然にキャリアを諦めることを受け入れている女性が多くいることに違和感を持っていたんです。
ジェンダーについての問題が一般的に語られるようになったり、影響力のある方がフェミニストを公言するようになったり、というのはここ最近なように感じます。
飯田 私が高校生のときに憧れて見ていた働く女性の恋愛ドラマでも、合コンの自己紹介のシーンで派遣社員だと言うと女性がモテて、正社員だと言った女性は男性陣に引かれてしまうという描写があったくらい。今思うとありえないですよね(笑)。ですが、私が就活をする頃になってもまだ、上場もしている有名企業の面接で「一般職のほうが結婚しやすいよ」と言われることがありました。
時代が変わっても、一部の地方や古い企業では、いまだにそういった価値観を引きずっているところもあるし、女性側にもどこかそういった「キャリアとライフイベントは両立できないもの」という固定概念が染み付いて内面化されてしまっている部分があるんじゃないかと思って。
そこで、女性の働き方にいろんな可能性を広げていきたい、キャリアの断絶を防ぎ、本業以外でもチャレンジしやすい機会を増やしたいと思い「副業マッチング」を提案することにしたんです。もともと、中小企業では「正規雇用は難しいけど広報やPRなどで誰かいい人いないかな?」など、特にPRまわりなどは問い合わせもありました。
お小遣い稼ぎの「副業」以外の選択肢を発信したい
――必要性もニーズもあったわけですね。受賞後、メディアとしてパラナビ の立ち上げにいたった経緯は?
岡部 副業マッチングでスキームとして考えた、企業から報酬をいただいて女性に月5万円支払うというのでは、法人がやる事業としては成り立たないということで練り直しになったんです。
一方、インターネットで「女性 副業」と検索すると出てくるのはモニターやチャットレディばかりという状況がありました。もちろん、それらも立派な仕事なので否定する気はありません。ただ、それだけしか選択できないという状況で苦しんでいる人もいる。だから、世の中にはキャリアの選択肢がもっとあるということを知ってもらいたかったんです。マッチングの前に、まずは企業側と、働き方を摸索する女性側のニーズを整理する必要があるなと。
また、当初は、「副業」で考えていたんですが、いろいろな人のインタビューや取材を通して、「副業」「複業」「パラレルキャリア」と様々な概念があることもわかってきて。いちばん一般的なワードである「副業」を使ってしまうと、「お小遣い稼ぎ」や「副収入」の意味合いが強くなってしまう。私たちがやりたいことを考えると、「副業」じゃなくて「複業」、さらにいうと、もっと広い意味で定義づけられる「パラレルキャリア」に行き着くと思い至ったんです。
飯田 それで、私が役員を務めているトレンダーズと一緒に、女性向けのパラレルキャリア支援サービス「Paranavi(パラナビ)」として、パラレルキャリアに関する情報発信メディアおよびオンラインサロンを運営することになりました。
パラレルキャリアの基礎知識から、パラレルキャリアのロールモデルとなる女性たちのインタビュー、パラレルキャリアに有利なポートフォリオの作り方まで、パラレルキャリアに役立つ情報やノウハウをまず発信していこうということでゼロからサイトを立ち上げました。
発想を得るために場所を変えることは不可欠
――withコロナの今、リモートワーク推進などもあり、一つの仕事を朝から晩までオフィスに閉じ籠ってする時代ではなくなりましたね。
岡部 コロナをきっかけに、席に長時間座っている=評価の対象という古い価値観が、一気に見直される機会になったと思います。今まで場所や時間に縛られて、諦めていたような生き方や働き方が実現できる可能性が出てきましたよね。
さらにいうと、ずっと同じ場所で同じメンバーで顔を突き合わせて、という固定的な働き方ではイノベーションは生まれにくいというのは、今や定説になりつつあります。たまには、オフィス以外の場所で、偶発的な出会いを楽しんだり、インスピレーションを得たりすることはクリエイティブな仕事をするうえでは欠かせないことではないでしょうか。
この「OMO 東京大塚」は、OMOベースというロビーラウンジがとても広くて、仕事やミーティングもできそうだし、ゲストルームは「YAGURA Room」という下段がくつろぎソファ、上段がベッドスペースで、寛いで深い話もできそう。こんなところがレトロな商店街も近い大塚駅近にあるのは驚きです。遠くに旅行に行くのはハードルが高くても、都心で手っ取り早く気分を変えてリフレッシュするにはうってつけですね。
飯田 私ももともと自宅だと集中できなくて、もっぱらカフェやワーケーションをして仕事をするタイプ。ここだと「ご近所出前カフェ」で大塚グルメを注文できるし、下段の畳スペースでとことん話して、そのまま泊まってしまえるのがいいですね。
今の時代、どんな会社員の方でも、ワーケーションはできると思います! 初めてのワーケーションには、ここ「OMO東京大塚」のような平日のホテルステイがおすすめ。あえて、家に帰らない環境を作り出すことで、集中力が一気に高まり、作業や勉強が一気に捗ります。
先日近場の都内で宿泊して1人合宿をしたのですが、その様子をTwitterで発信したところ、たくさんのビジネスパーソンから反響をいただきました。
――1周年を迎えて、今後どんなことをやっていきたいですか?
飯田 パラナビ では、オンラインサロンもやっていますので、これらの古い固定概念の開放を目指す人たちと一緒にワクワクする未来を作りたいです。「働き方や生き方の女性の幸せの正解は1つじゃない」をテーマにいろんな可能性を切り開いていきたいです。
また、最近ありがたいことに私たちの活動に共感してくれている企業様や団体様も増えてきて、もっとそういった方々を巻き込んで日本を一歩前に動かせるようなムーブメントを起こしたいですね。
岡部 1周年に向けて、メディアとコミュニティという2つのタッチポイント以外のサービスをしてみたいですね。これから何かを始めようという女性に、小さな一歩を提供できるような、実案件を紹介していきたい。そうすることで、パラレルキャリアを気軽に実践できる世の中にしていきたいですね。
取材協力/星野リゾート OMO5東京大塚 https://omo-hotels.com/otsuka/