Paranaviトップ ノウハウ 制度/法律 男性育休 「男性育休」はママの負担を減らすだけじゃない! パパにも訪れた人生の転機

「男性育休」はママの負担を減らすだけじゃない! パパにも訪れた人生の転機

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大ヒットドラマ『逃げ恥』のスペシャル版でも話題となった「男性育休」。しかし、まだまだ、自分の身の周りには馴染みがないという人もいるはず。残念ながら街を見渡してみても、平日昼間にベビーカーを押しているのは圧倒的に女性が多いです。「男性育休」の取得率は、これから増えるのでしょうか? 育休取得によって、パパの人生は良くなるの? 2019年当時に、「育休取得の難易度が高めの業種」で1年半の育休を取得されたファーストペンギンKさんに、男性育休が彼自身にもたらしたものをじっくりインタビューしてみました。(記事提供:わたし探求メディア molecule

「1人目の時は、当たり前のように休まなかった」

第一子誕生時は、完全な『仕事中心』の24時間を過ごした

「1人目のときは、妻の妊娠中に冬季オリンピックの仕事で長期間の海外出張へ行きました。育休を取るということも考えませんでした。そういう業界だし、自分の中でもその当時は、自己成長のために、今は仕事に時間を投資しなければならないと考えていました」

ファーストペンギンKさんが勤務するのは、某大手TV局。2014年に第1子が誕生された時、Kさんは報道の部署にいたそうです。自分の担当している番組の放送時間に、自分の働く時間が規定されてしまう側面が大きいそうで、第1子誕生当時にKさんの24時間は、完全なる夜型だったのだとか。

自分のライフステージの変化によって、働き方を柔軟に調整するということが、最も難しい業種のひとつかもしれません。

「憧れていた業界に新卒で入社して、希望の部署にも行けて、評価もそこそこしてもらっていました。仕事で成果をあげるために、また、自分自身が成長するためには、どっぷり時間を費やして仕事をするしかない。良いネタを仕入れるためには、ほかの記者が動いていない時間にも動かなきゃいけない。時間的な効率化が測れる職種ではないかもしれませんね

全国で働き方改革が叫ばれていますが、「長時間労働=無駄・悪」という世論がすべての職種に適合するわけじゃないのかもしれません。Kさんのお話を聞いて、「投資した時間の長さが価値につながる、それが職務遂行の上での熟練度につながる」…という職種も、確かに存在するんだと気付きました。

ライター・森田亜矢子は、実は男性育休取得必須化の“プロ市民活動”というのに参加しております。男性が育休を取得することで、①日本式子育てのジェンダーギャップを無くしたい、②不本意な長時間労働を是正するきっかけにしてほしい、③結果として出生率が改善されていくことを期待……という目的意識で活動しております。昔は日本は週休1日だったんですよね。それが現在は週休2日が当たり前になっているわけで、ある程度の強制力を持って施行すれば、世の中は変わる! と思っていました

しかし、実際にKさんのお仕事の話を聞いて、各職種の特殊性をまったく考慮せずに押し進めるのは、少々乱暴な話なのかもしれないと感じました。

「ま、でもこうして当時の24時間を書き出してみると、非効率な時間もすごくあったんだろうなと思います(笑)」

なぜ、2人目で育休をとったのか?

現在はLIFEにもしっかり時間を投資できる自分に進化

全仕事人生期間を通じてガツガツと働く人も少なくない業界の中で、なぜKさんはファーストペンギンになることを厭わず、育休を取ろうと決断されたのでしょう?

「1人目の育児を、自分の仕事の隙間時間でしていた頃、なんだかとてもモヤモヤしたんですよね。就職するときから、いずれ子どもが欲しいという願望がありながら、その当時の自分は、自分の子どもへの関わり方に対して、自分自身が満足できてなかったのだと思います。本当はもっと関わりたいという気持ちがありながら、仕事を言い訳にそうできていなかった。なんだかとてもモヤモヤしていました。でも、その仕事のほうも、ちょうど伸び悩んでいたというか……、一心不乱に目指していた目標が、なくなった状態だったのかも」

第1子出産時の夫婦の年齢は依然として上昇傾向にありますから、子供の出産が、ちょうど夫婦にとって、「キャリアの階段の踊り場」の時期と重なるのかもしれません。それは、出産と同時にキャリアの強制的な変更を余儀なくされきたこれまでの女性が抱えていたモヤモヤに、通じるものもあるのかも?

妻が2人目を妊娠したとき、迷わず今度こそ育休を取って、家族にしっかり向き合いたいと決意しました。モヤモヤしながら人生を進めるのではなく、一度立ち止まっても良いから、自分自身がニコニコした父でありたいと思ったんです」

Kさんが上司に育休取得の意向を伝えた時、上司は「そもそも男性社員が育休取れる制度があったの?」と驚かれたのだそうです。幸運にも、上司や部署の方々、人事の人の協力を得ることができ、Kさんは1年半に渡る長期間の育休を取得することができました。

今年の4月から復職されたKさん。現在は、元部署とは別の部署で、働いているそうです。育休Afterの24時間の過ごし方を見てもわかるとおり、WorkとLifeのバランスがしっかり取れたメリハリのある働き方を実現されています。

育休がもたらした人生の転機

育休取得によってKさん自身に訪れた変化を聞きました。

  • 仕事のやりがいは、Beforeよりもアップした

現在は「定時で帰る!」を目標に、日々、仕事の進め方の改善を図っているのだそうです。内部外部問わず、まず仕事を一緒にする人たちとの信頼関係をしっかり構築した上で、日々のメールなどのやり取りは、簡素な文章で要点だけを伝えて省エネ化を測るなど。

  • 奧さま&子供との関係性は「そこそこ良好」→「すごく良好」に変化した

もともと奧さまとの関係性は良好だったというKさんですが、育休を取得することで気付いたのは、「ワンオペ時代は、大変だと言い出すことすらできない状況にしてしまっていたのかも」ということ。子ども達と接する時間から、自分自身が得る学びも格段に増えたようです。

  • 仕事”外”人脈資産が圧倒的に増加した

育休中も、「家庭内」に閉じこもっていたわけではなく、積極的に様々な場へ足を運んだKさん。もともと高い積極性がある方ですが、育休を通じて「仕事外の人とのつながり」が圧倒的に増加したんだとか。現在は、地元エリアの「パパの会」にも参加して、季節ごとの親子イベントでは、ご自身の特技である映像編集で貢献されているのだとか。

実は私は、育休中のKさんと、育休復帰後のKさんの両方にお会いしました。どちらも楽しそうなのですが、復帰後のKさんがまとっていたオーラは、すごくパワーアップしているように感じたのですよね。

生産性高く“楽しみ”ながら仕事をし、仕事で得たことをプライベートにも還元でき、家族と過ごす時間がさらに自分の人生を楽しいものに変えていく……。そんな素晴らしいエコシステムを手に入れた感じですかね。

育休は「ママの育児負担を減らす」ためだけに取るものではなく、パパ自身の人生を、より良いものに変えていく転機としても十分に活用チャンスがあるんだと、確信させてもらった取材でした。

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森田亜矢子
Writer 森田亜矢子

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