Paranaviトップ お仕事 起業/独立 「幸せにしてもらう」は卒業。金沢で起業した新道春香さんが辿り着いた「自分で幸せになる」方法

「幸せにしてもらう」は卒業。金沢で起業した新道春香さんが辿り着いた「自分で幸せになる」方法

SHARE

Xでシェア Facebookでシェア LINEでシェア

採用サイト専門のWEB制作会社「株式会社Spring&Co.」で代表取締役を務める女性起業家の新道春香さん。新道さんは、地元の石川県にUターンをして26歳で起業し、プライベートでは離婚後に半年でスピード再婚を経験しています。今回は公私ともに自分らしい人生を歩む新道春香さんにインタビューを行い、「幸せを自分でつかみ、人生を楽しむコツ」を聞きました。

「どん底すぎて何もない」状態から、起業を決意した経緯

モニターの前に立つ女性

――26歳で「起業しよう」と思った、きっかけや決意した出来事があったら教えてください。

前に結婚していた夫の海外留学がきっかけです。夫の異動に合わせて私も約半年ごとで「正社員」、「契約社員」、「派遣社員」とキャリアを変化させながら、付き添ってました。

「派遣社員」で働いていたタイミングで夫が自費で海外留学に行ったので、私は地元の石川県にUターンすることに。ただ、また夫の異動に付き添う可能性があることや前職が派遣社員だったことから、どこの会社にも雇ってもらえないかもしれないと不安でした。

そこで「キャリアもないし、お金もないし、夫もいないし、私には何もないから起業しよう」と決心したんです。

当時は、自分の人生がどん底すぎると感じ、それ以下には下がらないと考えて、やるだけやってみようという思いでした。まず3カ月やってみて、ダメだったら辞めようと考えたんです。

――3カ月間やっていく中で、プレッシャーや不安はとても大きかったのではないかと思いますが、いかがでしたか。

やはり不安はあったので、最初はお昼に仕事をしながら、夜もホステスをしていたんです。そのときは、3カ月間やって月収30万円を得られなかったら辞めようと決めていました。「目標の金額を期限までに稼げなかったら辞めよう」と区切りを決めていたことが、結果良かったのかもしれないです。

――「月収30万円」という目標があったからこそ、頑張ろうと思えたのでしょうか。

「収入」や「生活の安定具合」が人と違うと、不安になりますよね。でも、ある程度の月収を得られていれば、周りの人から「フリーランスでちゃんと生活できるの?」と聞かれても、自信をもって「大丈夫です」と答えられると当時思っていました。

人類全員が良質な情報にたどり着ける世の中にしたい

人が集合

――ご出身の石川県金沢市でUターンしてから、地元で起業されたのはどのような理由がありましたか

夫が海外に行ってしまったので、私は出身地に戻るしかありませんでした。ただ、数ある地域の中でも「北陸」を選んで起業したことを振り返ると、北陸は五大都市すべてから離れた場所に位置している点が良かったなと思います。

――どういうことでしょうか?

岐阜県だと名古屋の会社がライバルになるし、兵庫県や和歌山県だと大阪の会社が競合になりやすいです。北陸は大きい都市が周りにないので、金沢がいちばん大きい都市といえます。

それに、実は北陸の人って消極的な人も多いんです。だから、起業をする人もあまり多くありません。

――ライバルとなる五大都市が近くになく、石川県にも起業家が少なかったからこそ、「石川県のパイオニア的な存在になりたい」とお考えになったのでしょうか。

ライバルが少ないからこそ、起業をすると目立ちます。

北陸の人は保守的なので、東京の会社と北陸の会社が同じことをしているなら、北陸の人が経営する会社にお願いしたい、となりやすいんです。振り返ってみると、北陸は起業に良い場所だったかなと思います。

――株式会社Spring&Co.(スプリングアンドカンパニー)の「誰も取り残さない、1億総WEB社会の実現」というビジョンが大変印象に残りました。そこに込められた新道さんご自身の思いをお聞かせください。

WEBサイト制作という事業を始める前は、もっと専門知識が必要な領域だと思っていました。でも、今は実際にはコードが書けなくても、誰でもWEBサイトを持てる世の中になってきています。

ただ、この事実は世の中にあまり知られていません。実際、WEBサイトがない中小企業や小さなお店は多く、日本のホームページ普及率は約4割ほどしかないんです。

――そんなに低いんですね。

また、「WEBサイトが安く簡単に持てる」という事実を、制作会社も教えてくれません。

たとえば、食事に行く前ってWEB上で飲食店の情報を調べることが多いですよね。仮にWEBサイトを持たない店の場合、WEB検索を利用した人は情報が十分に得られないので「よくわからないから、この店には行かない」と思うはずです。

つまり、WEBサイトを持たないことが原因で、お客様に来てもらうチャンスを失っていることになるんです。WEBサイトが安く簡単に持てる事実を知ってもらい、みんながサイトを持てる環境を実現することで、人類全員が良質な情報にたどり着けるし、良い世の中になると考えています。

相手に幸せにしてもらうではなく、「幸せ」には自分でなる

新郎が新婦を抱きかかえる

――少しプライベートなお話もお聞かせください。新道さんはプライベートでは「離婚後、半年で再婚」という、一見順風満帆ではないライフイベントもご経験されていますが、そうした経験を通して何か大きな心境の変化はありましたか?

離婚を経験したことで、「相手に自分を幸せにしてもらいたい」と考えるのではなく、「自分で幸せになるんだ」と思うようになりました。

以前はお付き合いする相手の年収、肩書き、見た目などのスペックを気にしていましたが、「本当に一緒にいて居心地が良いと思えるかどうか」で相手を見るようになったことで、相手を選ぶ基準が変わったんです。結果として、良い人とご縁があり、2度目の結婚をしました!

――「1人でも幸せな人生だけど、一緒にいたら幸せが2倍3倍になる相手がいたら結婚しよう」という考え方ですか。

そうです! 男性って、女性が依存すると逆に離れていきますよね。男性からすると、放っておかれてもご機嫌でいる女性の方がいいじゃないですか。

――たしかに、パートナーや周りの人が放っておかれてもご機嫌でいてくれたら幸せですよね。新道さんご自身は「自分をご機嫌に保つ」アイテムや方法はありますか。

私が自分をご機嫌にする方法は、「人や環境に期待をしないこと」です。

「期待しない」というと「切り捨てている」ように聞こえますが、人に期待するからイライラするし、悲しくなるし、上手くいかないと思うんじゃないでしょうか。

「全部、自分次第だな」という気持ちでいれば、そもそもほかの人に期待をしていないので、良いことがあったら「ありがとう!」と素直に喜べるし、自分が思うように相手が行動してくれなくても「そうだよね」と思えます。

自分をご機嫌にする方法は「周りに期待しないこと」かもしれないです。

――「周りに期待しない」というのはお仕事の中でも意識なさっているのでしょうか。

仮に相手に何か指示を出して、全然違う答えが返ってきても「私の伝え方が良くなかったかな」と考えることで、イライラすることが少なくなります。イライラしてしまう時もありますが、「周りに期待しないこと」で怒りを引きずることなく過ごせるようになりました。

人を変えるのは難しいですし、基本的に自分が変わる方がラクですよね。

――「人に期待しない」ことをプライベートでも仕事でも徹底して実践なさっていますが、人に期待をしない代わりに、逆に自分への期待が大きくなったり、自分がもっと頑張らなくてはいけないと思ったりすることはありませんか。

ありますね。すべてを「私が悪い、私の責任だ」と感じてしまい、辛いときもあります。ただ、私の場合は「人に期待をして期待通りではなかったとき」よりも「自分が悪いだけのとき」のほうが戦略を立てられるし、反対に諦められます。

相手に求めすぎると、「なぜここまでできないんだ」と相手に苛立ってしまいます。自分の限界なら自分自身がいちばん良く理解しているので、「私はここまでで限界だな」とすぐに諦められて、ストレスが少ないです。

物事を自分軸で考えるほうが、とてもシンプルでわかりやすいと思っています。

自分の強みを伸ばす方が人生は楽しい

パソコンを操作する女性

――人によって思い描く幸せや人生の形は様々かと思いますが、新道さんが思う「自分らしく人生を楽しむコツ」はありますか。

コツは自分の強みや得意分野を伸ばすことです。

ときには、自分の会社よりも優秀な制作会社を見て、「敵わないな」と思う時もあります。でも、人の真似をするだけだと苦しいので、自分の強みや得意分野を伸ばしていくほうが人生は楽しいのかなと思っています。

――自分の強みや得意分野は自分ではわからなかったり、見つけられなかったりすることも多いですが、どうやって探したらよいでしょうか。

自分の経験から価値提供できるものを探したり、消去法で考えたりするのがいいと思います。

私の場合、WEB制作を始める前は採用担当者の仕事をしていたので、この2つを組み合わせて「採用サイト専門のWEB制作会社」を始めました。得意分野を活かして新しい価値を生み出したり、やりたくないことを消去法で除外して自分の強みを見つけたりするイメージです。

――最後になかなか1歩を踏み出せなかったり、副業やパラレルキャリアなどの新しい働き方を目指したりしている読者に応援メッセージをお願いいたします。

私も周りから「起業をしていてすごいね!」とか「どうやったら起業ができるの?」と言われることが多いです。

けれど大切なのは「起業をしようと行動を起こすか、起こさないか」だけ。頭で考えているだけの状態がいちばん良くない状態だなと思ってます。

――頭で考えているだけではなくて、1歩踏み出すことが大切ということですか。

そうですね。「誰でも行動を起こしたら、起業ができる」と思っています。

私が考える最も失敗せずに起業をする方法は、いきなり起業をせず、副業から始める方法。いきなり起業をしなければ、1つの安定した収入源や仕事を持ちながら、自分のやりたいこともできますよね。だからこそ、副業に挑戦しないのはもったいないなと思います。

SHARE

Xでシェア Facebookでシェア LINEでシェア

Keyword

飯田 瑞季
Writer 飯田 瑞季

VIEW MORE

Page Top