Paranaviトップ お仕事 メンタル 自分を客観的に見つめる力、ありますか?「メタ認知」の力を高める3つの方法

自分を客観的に見つめる力、ありますか?「メタ認知」の力を高める3つの方法

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「いろんなことに挑戦したいけれど、私ってどんなことが向いているんだろう?」「新しいことを始めたけれど、なんだかうまくいかない。どうすればいいんだろう?」そんな悩みをかかえたことはありませんか? 今回は、そんな方に最初に知ってほしい心理学のお話です。

いちばん最初に知ってほしい、自分のこと

“メタ認知”という言葉をご存じでしょうか? メタ認知とは、自分自身の思考や知識に対する認識・理解のこと。つまり、私たちがどのように知識を獲得し、問題を解決し、情報を処理するかについて、自覚的に考える能力のことです。

もう少しくだけた言葉で言うと、「私って、自分のいろんなことをどう見つめていて、どう考えて、どう行動に移しているんだろう(または、移さない理由はなんだろう)?」ということを、しっかりと言語化して考えていく力です。

私たちは普段、自分の思考プロセスや認知の仕方について考え、それを利用していろいろな行動につなげています。例えば、「自分がそもそも何を知っていて何を知らないか?を判断すること」「私が理解している内容は正しいの?と客観的に見つめてみること」。こうして自分の学習方法や思考回路を見る力を、メタ認知といいます。

メタ認知は成長のスタートライン!

では、メタ認知をする目的は何でしょうか? いちばんは、「自己認識」です。自分がどのような学習スタイルや思考スタイルを持っているかを理解し、自分自身のストロングポイント(長所)やウィークポイント(短所)を把握すること。そこにメタ認知の力が生きます。

今の自分をありのまま受け入れるって意外と大変なことだし、避けて通りがちです。でも、まずは今の自分を知らないと、将来に向けて改善することもできないと思いませんか? メタ認知は自分の成長のスタートラインなんです。

そして、今流行りの「自己肯定感」。もともとは自己を肯定する、つまり、ありのままの自分を受け入れるという意味の概念でしたが、いつの間にか「自己肯定感が高い=自分に自信がある」という意味で使われることが多くなっています。「自分にもっと自信を持とう!」と言う人は多いですが、残念ながら自信は持とうと思って持てるものではありません。

自信を持つためにこそ、まずはメタ認知。今の自分を知って、どうすれば成長するか、解決策を自分で考えて行動することが重要です。

メタ認知

考え方を客観的にセルフチェックしてみよう

メタ認知の第2のポイントが、「解決策を自分で考える」という行為につながることです。メタ認知は学習や問題解決の効率を上げる上で重要な役割を果たしています。

私たちは普段、それぞれの考え方の癖や、いろんなバイアス(偏見)がかかった思考を使って物事を判断しています。その癖やプロセスを客観的に評価し、改善することで、より効果的・効率的に学び、問題を解決し、目標を達成することができます。簡単にいえば、勉強方法そのものが間違ってないか、客観的な目線でセルフチェックしてみようね、というお話。

そして、これが先ほどの「自信」につながります。今の方法って間違ってないよね、と試行錯誤するプロセスを自分で構築していくことで、私たちは自信を身につけていきます。ですから、自信をつけるのにも、メタ認知はすごく大切!

このとき、最終的な結果ではなく、プロセスの中で得られた自分の成長にフォーカスしてあげてください。最終的な「できた・できない」にこだわってしまうと、“100-0”の思考、つまり「できたらOK、できなかったら全部だめ」という気持ちになりやすくなります。また、結果はすぐに出るものではないので、そこまで自分を高め続けることは簡単ではありません。常に自分の成長をみてあげることで、自信がつきますし、メタ認知の能力自体の成長にもつながります。

今できないことを見つけられることは素敵なこと

前述したとおり、自己肯定感とは本来、今の自分をありのまま受け入れる「自己存在感」や、もしくは「自己効力感」に近しいものと考えられています。「自己存在感」とは、個人がありのままの自己の存在を感じる、心理的な意識のことを指します。自分自身が実在していることを認識し、ほかの人や物事との区別をつけて、自己の身体的存在や感情、思考、意識、人間関係、役割、アイデンティティなどを感じることを指します。

自己存在感は、自己認識や自己意識の一部と捉えることもできますね。今の自分自身を、「いいこと・悪いことが両方あるのは当たり前、そんな自分がいてもいいじゃない!」と肯定してあげるイメージに近いので、自己存在感を持つことは、心理的健康や幸福感につながります。自己存在感が高い人は、自分自身を受け入れ、他者との関係を構築し、自己の目標や価値を追求することができる傾向があり、一方で自己存在感が低い人は、自己評価や自己受容に悩み、他者とのつながりや目標の達成に困難を感じがちです。

メタ認知

もう1つ、「自己効力感」とは、個人が自身の能力や行動に対して持つ信念や自信のことを指します。ここには、自分が目標を達成するために必要な能力やリソースを持っているという確信や、自分の行動によっていい結果を生み出せるという自信を含んでいます。

この概念は、アルバート・バンデューラという心理学者が提唱したもので、人間の行動やパフォーマンスに大きな影響を与える要素とされています。自己効力感が高い人は、自分の能力や努力が成功につながると信じるため、困難な状況でも諦めずに取り組む傾向がありますが、自己効力感が低い人は、自分の能力や行動の効果を疑い、挫折しやすい傾向があります。また自己効力感は、個人の成長や達成感、ストレス耐性、意欲などにも影響を与えます。高い自己効力感を持つことは、目標の設定や達成、困難に立ち向かうために重要な要素なので、何か頑張りたいものがある人には欠かせません。

自己効力感の大切なところは、「結果を生み出すまでの過程」に対する自信であるということ。単に結果だけにフォーカスする人や、行動と思考が他人任せはなかなか身につけられません。自分を見つめて、自分で挑戦した人のみ、身につけられるものです。ですから、今できないことがあるのは、決してだめなことではありません。むしろ、あって当たり前。そんな自分をしっかり受け入れられる人は、次のステージとして、自分をどう成長させていくか? という改善に向けた前向きな思考を持てるんです。

メタ認知を促進するための方法

では、メタ認知を促進するにはどんな方法があるのでしょうか。3つ紹介します!

自己観察する習慣をつける

自分の思考や行動を客観的に観察する習慣を身につけましょう。自分がどのような思考パターンや傾向を持っているのか、例えば、自分がどのような状況や刺激に反応しやすいのか、どのような感情や信念が自分の判断に影響を与えやすいのなどを意識してみることです。

日常の出来事を振り返って、整理する

日常の経験や出来事について振り返って、考えを整理する時間を作ることが有効です。失敗も成功も、なぜそのような結果になったのか、自分の思考や行動にどのような要素が関与していたのかを振り返ります。自己観察と振り返りには、日記がおすすめ。どんなことがあって、どう考えて、どう行動したのか。そして、その時にそう感じていたのか。その場ではなく少し時間を空けてから振り返ると、冷静に自分を見つめることができます。

そのとき、自分に対して積極的に質問をしてみてください。自分の思考や意思決定に対して「なぜそう思うのか?」「ほかの視点や解釈はあるのか?」「ほかの方法は考えられるのか?」といった問いを自分に投げかけましょう。これにより、より柔軟な思考や判断力を養うことができます。

いろんな人と意見交換をする

自分の思考回路をロジカルに考えるなんて、なかなか難しい……。そんな方は、まずいろんな人と話してみてください。人の意見を聞いて「この人はこう考えているんだ」と知ると、自分と同じようなところ、全然違うところなどが見えてきて、おのずと自分の考えも浮かび上がってきます。

メンタルが整っている人は、今の自分をありのまま受け止めて、成長を楽しめる人です。メタ認知をして、自己存在感と自己効力感を身につけ、楽しい毎日を送りましょう!

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木村好珠
Writer 木村好珠

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