Paranaviトップ ライフスタイル 暮らし 私を時計沼へといざなったTUDOR「ミニサブ」との思い出

私を時計沼へといざなったTUDOR「ミニサブ」との思い出

SHARE

Xでシェア Facebookでシェア LINEでシェア

連載「キャリアに寄り添う名品」では、ジュエリー・ウォッチ・バッグなど、仕事を頑張るあの人のそばに寄り添う、名品とのストーリーに迫ります。第3回目は、時計専門誌「クロノス日本版」の編集者である鶴岡 智恵子さんに、所有している12本のウォッチ中でもとくに思い出深いアイテムを選んでもらいました。

  • 今回の名品

オイスター プリンス サブマリーナー/TUDOR(チューダー)
※タイトルおよび本文中では、通称の“ミニサブ”で記載しています。

運命の出会いは“直感”だった

——現在は、時計専門誌「クロノス日本版」の編集者として活躍する鶴岡さんですが、これまでずっと時計業界にいらっしゃったのですか?

時計業界は7年ほどになります。前職は、時計の並行輸入販売をやっている会社で2017年に入社しました。そこではマーケティング課に所属して、コンテンツマーケティング全般をおもに担当していました。その後、2023年7月より現職です。

——今回ご紹介いただけるアイテムがチューダーの「ミニサブ」とのことですが、このウォッチとの出会いについて教えてください。

このウォッチを購入したのは2018年の8月で、時計業界に入って1年ほどのことでした。1980年くらいに製造されたものですが、実はもともとアンティークウォッチに興味があったわけではないんです。当時働いていたショップに、長年アンティークウォッチを扱ってきたバイヤーがいて、彼からアンティークウォッチについて色々教わるうちに、その奥深さに徐々に興味を持っていきました。

当時の私は時計についての知識もまだまだ浅く、ブランドの歴史やモデルの価値を深く理解していたわけではありませんが、とりあえず何か一本自分で購入してみようと思い、デザインが気に入って“自分に合いそう”と直感したミニサブを購入しました。

すると、色んな方に「渋いウォッチを選びましたね」と言われたんです。自分としては可愛いモデルだと思って購入したので、なぜそんなふうに言われるのだろうと不思議でした。

そこで調べていくうちに、ダイヤルがトリチウム夜光だったり、ベゼルや風防がプラスチックだったりと、実はオールドウォッチ愛好家が好む要素を備えた個体だったことがわかったんです。当時の私はそういう部分を知らずに買っていたのですが、今となっては、知識はなくても見る目は持っていたんだなと思います(笑)。

ミニサブは私のモチベーションを上げてくれる存在

——このウォッチの気に入っているポイントを教えてください。

とくに気に入ってるのは、やはりルックスですね。ミニサブはロレックスの「サブマリーナー」というダイバーズウォッチを踏襲して誕生したのですが、私はいかにも女性向けというキラキラな可愛らしいモデルよりも、元々大きめサイズのモデルをデザインはそのままに小さくしたようなモデルが好きなんです。

その点ミニサブは、サブマリーナーのデザインをそのままに径33mmケースにダウンサイジングしているという、まさに私の好みドンピシャの1本です。

クロノスの編集部に入ってからさまざまな時計に出会い、実機を着用する機会もある中で、このミニサブが非常にしっかり作られている時計であることがわかり、改めて「いい時計だな」と思うようになりました。製造から40年以上経っているにもかかわらず、防水性能もしっかりしているし、ゼンマイもきちんと巻き上がるし、時刻の精度もいいんですよ。

——現在は12本のウォッチをお持ちとのことですが、ミニサブはどのようなときに着けることが多いですか?

気持ち的に少し落ち込んでいるときや、自分のモチベーションを上げたいときは、自然とこれを着けている気がしますね。このウォッチを見ることで安心感や満足感、所有する喜びなど、ポジティブな気持ちを味わえるんです。

前職時代、ときには辞めたいなと思ったり不安に思ったりしたこともありましたが、そんな時間をともに過ごしてきたウォッチですし、「こんなに素敵なモデルを着けている私に、できないことはない!」と、自分を鼓舞してくれるアイテムでもあります。

使い勝手という面では正直、現行品の方がいいのですが、たとえば経年でよれてしまっているブレスレットも、そのゆるっと感が逆に精神的には居心地がよかったりします。ただ、このよれたブレスレットのコンディションを悪化させないために、普段はオーダー品の革ベルトに付け替えて使っています。使用シーンとしては仕事でもプライベートでも着用します。メンズライクなアイテムですが、ワンピースに合わせることもありますよ。

価格高騰するウォッチは“買いたいとき”が買いどき!

——鶴岡さんがウォッチを選ぶ際の基準や傾向などはあるのでしょうか?

私は時針・分針・秒針の三針が真ん中に付いているセンターセコンドのモデルを好んでいることに最近気づきました。所有しているものはデジタルウォッチ以外はすべてそのタイプなので、シンプルなモデルが好きなんだと思います。これまで手放したものは、ほとんどクロノグラフか時針・分針だけの二針のものでしたね。

——最後に、これからウォッチを買おうと思っている女性に向けてアドバイスがあれば教えてください。

今は価格がどんどん高騰していて「“今”が一番安い」といった状態なので、「買いたいときが買いどき」であると思います。とくに今回紹介したようなヴィンテージウォッチはまさに一期一会で、明日も同じものに出合えるとは限りません。「一晩考えよう」というより、欲しいと思ったそのときに買ったほうがいいのかなと個人的には思います。

私は勢いでウォッチを買ってしまったことも何度かあるのですが、それを後悔したことは一度もないんです。そのせいで生活がちょっと苦しくなってしまった経験はありますけど(笑)。
参考:webChronos「使っちゃいけないお金に手を付けて買った時計、ザ・シチズン【私の思い出の1本】

でもウォッチはいざとなれば売ることができて、今生活費を切り詰めて時計に注ぎ込んでいたとしても、実質は資産運用みたいなものですよね(笑)。あとは売ったとしても「次のユーザーに渡していける」という部分は、二次流通市場が広いウォッチならではのおもしろさでもあると思うので、自分が買いたいときに思い切って購入してみるのもいいかなと思いますよ。

鶴岡 智恵子(つるおか ちえこ)● 旅行業界などを経て、2017年株式会社羅針に入社。オウンドメディアの運営やマーケティングに従事。2023年7月株式会社シムサム・メディアに入社。現在は時計専門誌「クロノス日本版」の編集者として活躍。女性向けのレコメンド記事やユニークな編集部ブログにもファンが多い。

SHARE

Xでシェア Facebookでシェア LINEでシェア

Keyword

Miyu
Writer Miyu

VIEW MORE

Page Top