収入を増やすためにパラレルキャリアを考えている人、すでに実践している人も少なくないでしょう。お金は人生を豊かにしてくれるだけでなく、何らかの困難に直面したときに身を助けてくれる重要なツール。だからこそ、働いて手にしたお金はしっかり貯蓄に回したいもの。とはいえ、なかなか口座残高が増えないというお悩みを抱えている人も多いのでは。そこで今回は、節約アドバイザーとしても活躍するFPの丸山晴美さんにパラキャリ女子必見の貯蓄のコツを学びます。
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「先取り貯蓄」で確実にお金を貯める
――貯蓄が苦手な人は多いですよね。どうすればお金が貯まるのでしょう?
まず、お伝えしておきたいのは、貯蓄の基本は「先取り貯蓄」だということです。毎月決まった金額を継続して積み立てる、これこそ貯蓄が成功するための仕組み、ベースなのです。貯蓄をはじめるなら最初に、しっかりこの仕組みを作ることが大切です。
――なるほど。確かに手元にお金があると使ってしまいますよね。
そうですね。ちょっとでも余裕ができると、いろいろなところでお金を使ってしまいがちです。高価な化粧品、高級グルメやスイーツ……自分へのご褒美を乱発してしまう人が多いと思います。
――うぅ……心当たりがあり過ぎます(笑)
特にパラレルキャリアだと、お金にも余裕が生まれますし、日頃は忙しいはずなので、「今週は忙しかったから、ちょっといいお店にご飯を食べに行こう」とか、「まとまった休みにしっかり遊ぼう」とか、結果としてお金を多く使う頻度が増える傾向があるのではないでしょうか。
――そうかもしれません。
もちろんそれは悪いことではありませんが、それを続けているとお金はなかなか貯まりにくいと思います。対策として、たとえば会社の財形貯蓄や定期預金などを活用して、毎月の給料から一定金額を勝手に引いてもらうようにすることです。
――引かれたお金は最初からなかったと考えれば、貯めなきゃと頑張る必要もなくて良いですね。
その通りです。あるから使う、なければ使わない。それならば、なかったことにして、勝手に自動で貯まっている状態が理想です。確実に貯めるためには、貯蓄を意識しないことがポイントとも言えます。
毎月の貯蓄額は手取り収入の1割から3割が妥当
――となると、パラキャリ女子こそ、「先取り貯蓄」が大事になりそうですね。では、その仕組みを考える上で、気をつけたい点はどんなことでしょうか?
一般的に、貯蓄は毎月の手取り収入の1割から3割が目安です。一人暮らしだと家賃の割り合いが高くなるので、3割は難しいかもしれませんが。イメージとしては家賃と貯蓄をあわせて手取り収入の4割には収めたいところですね。収入の何割を貯蓄に回すかを決めたら、あとは自動で貯められるようにすること。
また、手にしたお金を貯めるだけではなく、収入から引かれるお金を取り戻す工夫も大切です。つまり節税対策です。もし副業で経費を引いて年間20万円を超える収入があるなら、確定申告が必要です(※)。いまは、ふるさと納税や個人型確定拠出年金(iDeCo)など、節税効果が高い制度も増えていますので、そうした制度を活用し、住民税や所得税を減らすことで、毎月貯蓄に回せるお金が増えます。
(※)所得税の場合、20万円を超えなかった場合でも住民税の申告は必要。
――節税と貯蓄って、あまり関連がなさそうですけど繋がっているんですね。でも、貯蓄初心者が節税まで考えるのはハードルが高いかもしれません。
そうですよね。そのためには管轄の税務署に電話相談することをおすすめします。税理士さんに相談すると費用が掛かりますが、税務署の職員さんに聞けば無料ですし、知識も正確です。副業の内容に応じたアドバイスを受けられますよ。とはいえ、漠然と質問するのではなく、何について聞きたいのか、あらかじめまとめておきましょう。
ライフステージの“貯めどき”を意識する
――あと、育児がはじまると貯めにくいなど、ライフステージによって貯蓄しやすい時期が違ってくる気がします。
やはり“貯めどき”はありますね。最も貯めどきなのは、独身もしくは夫婦共働き・子なし(DINKS)の時期。続いて子どもが独立してから老後までの時期です。子どもができると、なかなか貯蓄にお金が回らなくなりますから、まずは独身とDINKSの時期にどれだけ貯められるかがポイントになります。
――なるほど。独身とDINKSですね。それぞれのライフステージにおいて、貯蓄に関して気をつけるべきことは何でしょう?
まず、独身の人は「物を持ち過ぎないこと、買い過ぎないこと」ですね。節約って、安いものを買うイメージが強いですが、必要ないものを半額だからって2つ買ったら、出費額は変わらないので、意味ないですよね。もし「これ欲しい」と思ったとき「これって本当に必要なの?」と自分に問いかける癖をつけると良いでしょう。
また、DINKSですが、自動車や住宅ローンなど高額になりがちな支出をどれだけ抑えるかが大切です。結婚するとダブルインカムが期待できるとあって、つい固定費を高く見積りがちですが、育児資金や老後資金を踏まえ、貯蓄に一定額回すことを前提にして、計算してほしいですね。
丸山晴美さん ● 1974年3月17日生まれ。外語系専門学校を卒業後、旅行会社、コンビニ店長などを経て、 2001年1月フリーの節約アドバイザーとして独立。分かりやすく、ケチではない楽しい節約をモットーに活動し、身の回りの節約術の指導をTVや雑誌などを通して指導。
http://www.maruyama-harumi.com/index.html