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「仕事を選んだから、結婚も育児も諦めなきゃ…」彼女の言葉で決意した、“公私混同経営”の道

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大学在学中に起業した中村朝紗子さん(通称 もに・29)。一時は一般企業への就職を検討するも、「自分の心に嘘はつけない」と経営者の道へ進むことを決意しました。多忙な日々が続き、「仕事を選んだから、結婚や出産は諦めなきゃ」。ーーそう思っていたもにさんに、パートナーの井上皓史さん(通称 5時こーじ・29)は、プロポーズを決意。そこでもにさんに提案したのが、同じ会社で事業を運営しながらプライベートも共有する「公私混同経営」でした。2人ならではの、ユニークなパートナシップとは?

自分の本心には逆らえない。就活をやめて経営者に

ーーもにさんはなぜ、大学在学中に起業したんですか?

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もに

就職活動を本格的に始めた大学3年生のとき、猛烈にやりたいと思えるサービスを見つけたことがきっかけです。それが2013年3月に立ち上げた、プロのヘアメイクと写真撮影でヒロイン気分を味わえる「撮影女子会」というもの(現在はサービス終了)。順調に育っていましたが、経営者の道を歩むかは迷っていて……。普通に就職活動もしていました。

ーー最終的に経営者の道を選んだのは、どのような決め手があったんでしょう。

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もに

周りからは、「起業するのはまだ早い」「3年は社会人経験を積んだほうがいい」という意見があり、私も迷う気持ちがありました。

 

しかし、CAMPFIREの代表・家入一真さんから「もにさんの本心は、そっち(経営)に向かっているんじゃないかな。『まずは社会人を3年続けるべき』という意見は、王道のチャレンジしかしていない人。退路が断たれたとき、人はいちばんやる気になるから」と言われて、ハッとしました。そして大学卒業後の2014年10月に、女性向けのコンテンツをプロデュースするMorning Laboを設立しました。

ーー経営のほうに心が向いているって気づいたんですね。

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もに

はい。そして、この気持ちに嘘をつきたくないと思ったんです。それで、すべての選考を辞退することに。手持ちのエントリー企業がなくなった大学4年生のとき、やりたいサービスに挑戦する人生を歩もうと決めました。

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24歳で入院…「持続可能」に生きるため、朝活スタート

ーーもにさんが起業した2014年は、今と比べて女性の起業家はまだまだ少なかったですよね。

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もに

男性ばかりでしたね。でも私、高校生のときからずっと少林寺拳法をやっていたので、ガッツだけはあって(笑)。「お金」「人脈」「経験」がないことは痛感していたので、憧れの起業家にアポを取ったり、講演会に行ったり、本を読んだりして、足りない部分を「行動」で埋めるようにしました

ーーその行動力が実って、「撮影女子会」はたくさんのメディアに取り上げられるなど大きく成長しましたよね。

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もに

ただ、サービスの成長と比例して多忙を極めるようになって。「私は20代前半だし体育会系だから、多少無理しても大丈夫だろう」と、深夜まで働く日々でした。そしたら、24歳のときに大腸の病気になっちゃって。基本的にすべて私ひとりで運営していたので、私が入院したら、会社が回らなくなってしまいます。急きょ現場を担当してもらったスタッフともうまく連携がとれず、苦しい期間でした。病院のベッドで、天井を見つめながら「仕事をゆるめて婚活しようかな」「それとも仕事に突き進むしかないのかな」とぼんやり考えているとき、「持続可能」というキーワードが頭に浮かび、これだ! と思いました。

ーーなぜ「持続可能」に行き着いたんでしょうか。

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もに

仕事が好きだから、絶対手を抜きたくない。一方、無理したらまた体調を崩してしまうかも。それならちゃんと環境を整えて、仕事もプライベートも自分が納得できるものを持続できる生活に改めようと思ったんです。

当時は人脈をつくらなきゃと焦って、たくさん飲み会に行ってたんですが、その分生活リズムがかなり狂っていました。そこで始めたのが早起きです。Twitterで「#スゴ朝」と投稿し、朝活報告を発信し始めました。何日か続けていたら、当時「朝渋」を運営していた複業研究家の西村創一朗さんからDMが届いたんです。この出会いが、5時こーじとの結婚につながりました。

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「朝渋」のメンバーと!

彼女の馬力は、まるでレアポケモンに出会ったような衝撃

ーー西村さんがきっかけだったんですね!もにさんと5時こーじさんはどのように出会ったんでしょうか。

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5時こーじ

当時、僕はIT企業の会社員で、西村さんとも知り合いでした。そのころの西村さんは完全に夜型。僕は朝型なので、西村さんから夜遅くに届いたメールを朝5時ごろに返信していました。そしたら「夜遅くまで働いててすごいね!」と勘違いされて(笑)。いやいや僕は朝型なんですと伝えたら、「朝型になるコツを教えてほしい」と頼まれ、西村さんを早起きさせるお手伝いをすることに(笑)。約1カ月で、西村さんを完全なる朝型人間に変えました。

――5時こーじさんの手腕、すごいですね(笑)。

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5時こーじ

西村さんには「世紀の大発見だ!」と喜んでいただき、もっとこの活動を広げていこうと、2人で朝活コミュニティーの「朝渋」を立ち上げることになったんです。活動が軌道に乗り、スタッフを増やしたいと思っていたところ、西村さんが彼女をスカウトしました。
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もに

西村さんのことは以前から知っていたし、いつか会ってみたいと思っていたので、声をかけてもらえたのはとてもうれしかったです。一方、隣に座っている彼のことは「西村さんの後輩」としか思っていなくて……(笑)。

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西村創一朗さん(左)と。

ーー(笑)。そこから、どうやってお付き合いが始まったんですか?

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5時こーじ

スタッフとして一緒に働き始め、彼女の仕事に対する熱意、馬力の強さを見て、「こういう人が世の中を変えるのか」と惹かれました。企業で働いているとそういう人になかなか出会えないので、レアポケモンを見つけたような気持ちでしたね。
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もに

レアポケモン(笑)。
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5時こーじ

その半面、彼女がつくる営業資料には、ツッコミどころがたくさんあって。例えば相場30万円の案件を3万円で受けるような、人のよさがありました(笑)。営業資料のつくり方を僕がアドバイスしたら、彼女が「クライアントからいい反応をもらえました!」と喜んでくれたことを覚えています。
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もに

このころから、片方のできないことや苦手分野をもう片方が補いつつ、お互いに全力で仕事のサポートをし合う関係性でしたね。

ーー半年ほどお付き合いされた中で、結婚を意識したきっかけは何でしたか?

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5時こーじ

彼女は相変わらず仕事で忙しい日々。あるとき、「私は仕事を選んだから、結婚や出産は諦めなきゃダメだよね……」とつぶやいたことがありました。彼女が、仕事とプライベートの充実という2つの夢を追うにはどうしたらいいんだろうと考えた結果、プロポーズして「結婚→公私混同経営」を提案しました。「僕があなたの会社に入社して、ナンバー2になるから」って。

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周りに背中を押され、子どもを意識するように

ーー斬新!もにさんは、5時こーじさんからの提案を受けて、率直にどんな感想を持ちましたか?

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もに

あまりに予想外の提案だったので、すごくうれしいと思いつつ、2週間ほど悩みました。でも最終的には「こんなに頼もしいナンバー2はいない」と思いました。経営者としての苦しみを同じレベルで考えて、運命を共にしてくれる人なんてなかなかいません。それに、万が一家庭がうまくいかなくても仕事は続けられますし、仕事がつまづいたら別の仕事を選べばいいだけ。家入さんのアドバイスのように、退路を断てば、きっと見えてくるものがあるだろうと思いました。

ーー2017年に結婚するも、妊娠・出産には葛藤があったと伺いました。

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もに

いつか子どもがほしいとは思っていたものの、仕事もあるし、すぐには難しいだろうと感じていて。女性社員にこの話をしたら「私も将来子どもがほしい。ぜひ、もにさんが先に!」と背中を押してもらいました。また、SHEの福田恵里さんをはじめ、子育てをしている女性起業家の存在に勇気をもらったことも相まって、家族が増えることを前向きに検討するようになりました。

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家族が増える前の1枚。幸せがいっぱい!

ーーそうして、2020年に第1子が誕生。お子さんが産まれてから、お2人の関係に変化はありましたか?

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5時こーじ

コミュニケーションをとる頻度はすごく増えましたね。関わりあうことが増えた分、言葉にしないと伝わらないことも多いので。違和感があったらちゃんと言葉にするようにしています。
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もに

仕事についても子育てについてもすぐに話し合えるので、意思決定が早いし、お互いに納得しあって進めてこられているとと思います。ただ、私たちの生き方をみんなに押し付けたいわけじゃありません。Paranavi読者のみなさんには、私たち夫婦を「実験台」だと思ってほしくて。世の中の当たり前から解放されて、「こういう生き方もあるんだ」と気づいてもらい、前向きに生きるきっかけになれたらうれしいです。

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中村朝紗子●(なかむらあさこ 通称 もに・29)少林寺拳法に夢中だった青春を経て、大学在学中に「撮影女子会」を立ち上げ。2014年に株式会社Morning Laboを設立し代表に。結婚を機にパートナーの5時こーじさんが入社し、2020年には第一子を出産。

井上皓史●(いのうえこうじ 通称 5時こーじ・29)東京・渋谷を拠点に全国で活動している朝活コミュニティ「朝渋」の代表。IT企業で働く傍ら、自身の早寝早起き習慣を基に、2017年よりコミュニティを設立。2018年夏、株式会社Morning Laboの取締役に就任する。

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橋本岬
Writer 橋本岬

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