Paranaviトップ お仕事 働き方 元・腰掛けOLが30代で踏み出したキャリアの一歩、「副業」で得られたお金以上のものとは?

元・腰掛けOLが30代で踏み出したキャリアの一歩、「副業」で得られたお金以上のものとは?

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女性たちが歩むキャリアの道中には、さまざまな分岐点が存在します。世の中も自分も変化する中で、私たちはどのようにして正解の道を見つければよいのでしょうか。新連載「キャリアの一歩」では、キャリアを模索する30代を歩んできたライターMiyuが、キャリアに変化を起こす一歩を踏み出した瞬間のエピソードをお届けします。

結婚を失った腰掛けOLが見た、未来の自分の姿

私には、30代前半まで長く付き合った人がいました。将来は当然その人と結婚するものだとずっと思っていましたが、結局その彼とは結婚することなく、ある日あっけなく別れたのです。

当時、地元で働いていた私は仕事が楽しいわけでもなく、食べていくのに不自由しないそこそこの収入があればいいと思っていました。これといったスキルもなければたいした職歴も実績もない、典型的な腰掛けOLです。

地元には魅力的に思える仕事がないので、一度は東京でやりがいを見出せる仕事に就いてみたいという気持ちも長年ありました。しかし当時は、今のようにオンライン面接もない時代。平日フルタイムで働きながら東京の企業に出向いて転職活動をすることは非常に難しく、叶えられないままでいたのです。

「結婚して子どもを産めば、東京で働くことにも諦めがつく。2人分の給料があれば生活もなんとかなるものだろう」と、どこかでそんなふうに考えていたのかもしれません。結局、私はキャリアも結婚も何ひとつ叶えられないまま、パッとしない日々を過ごしていました。

当時の私は上場企業の地方拠点に勤めており、SV(スーパーバイザー)という役職もついていたため、地元のオフィスワークの女性にしては稼いでいるほうだったかもしれません。

しかしあるとき、同じ役職の40代女性の先輩を改めて見ると、30代前半の自分と仕事内容も給料も変わらないことに気がつきました。

今のまま40代になるつもり?

この会社で働き続けた40代の自分は、このまま今の自分と何も変わらない。今の延長線上にいる自分の姿がふと見えた瞬間、なんだかとてつもなく恐くなったのです。キャリアも恋愛も何もかも中途半端。一生懸命になれることも仕事への納得感もない。私は何も変わらないまま、ここで年齢だけ重ねていくつもりなの……?

「このままではいけない」と思った私は、今後の自分のキャリアについてようやく真剣に考え始めることにしたのです。

副業ライターとして踏み出した第一歩

かつて、「ノマドワーカー」という言葉が流行ったことがありました。オフィスや自宅だけでなく、カフェや旅先などさまざまな場所で自由に働く人を指す言葉です。そんなふうに場所を問わない働き方や、どこへ行っても自分の腕だけで稼げるような人物像に憧れていた私は、パソコン1つでできる仕事が自分にとっての理想であると改めて気づいたのです。

それが実現できる仕事を検討した中で、昔から書くことが好きだった私はライターという仕事に辿り着きます。しかし地元にはライターの求人がなく、ライターが自分に合っている仕事なのかどうかもまだわからなかったため、まずは副業としてできるライターの仕事を探すことにしました。

そこで、当時いつも見ていた女性向けメディアにライター募集について問い合わせたところ、あれよあれよという間にテストライティングと選考に進み、そのメディアでライターとして執筆することになったのです。

そうして、私の「副業ライター」としての日々が始まりました。ライターの仕事は、土日に原稿を作成して月曜の朝までに提出するというスケジュールで動くこととなり、原稿の修正対応や掲載前のプレビューチェックなどは、平日に行っていました。当時はまだリモートワークという言葉や働き方が一般に普及していない時代だったので、東京にある編集部と地方にいる自分で1つのものを作ることは、非常に貴重な経験だったと思います。

副業を開始して以降、毎週の締切に追われることや、土日に休む時間を作れないことは想像以上に大変で、原稿を書くことに対して楽しさだけではなく苦しさを感じることも出てきました。それでも大変であること以上に、自分が考えて企画した内容が記事として形になり、世の中に発信されることが楽しくてたまらず、本業とはまるで違った感情で仕事に向き合っている自分がそこにはいました。

苦しくても大変でも、自分の意思で進める仕事はすべての事柄に納得感があったのです。そのようにして、これまで読者として見ていたメディアに自分の記事が掲載され、人気ランキングで1位を獲得したときは本当に嬉しかったことを覚えています。

副業で得たいちばん大きなものは、お金ではなかった

そして初めて、会社のお給料ではなく“報酬”というお金を自分の力だけで稼いだという経験は、何も持たなかった自分に大きな自信と安心感をもたらしてくれました会社の仕事は極端な話、どんなにやる気がない日でも、とりあえず出社して座ればお給料が発生します。しかし個人で受注した仕事はそうはいきません。

私は副業を通じて「お金を稼ぐ」とはどのような営みなのかを、人生で初めて本当の意味で理解できた気がしたのです。稼ぐというよりも、自ら提供した価値によってお金を「生み出した」という感覚が近いかもしれません。

その日から、私にとってお金は会社から「もらうもの」ではなくなりました。この経験は副業で得たものとして、お金よりもずっとずっと大きな“報酬”であったと思います。また副業をきっかけに「この会社の仕事は自分の人生をかけてやる意味のあることだろうか?」と、さらに深く仕事について考えるようになりました。

Miyu

現代の女性たちがキャリアの岐路に立たされたとき、従来は普通とされてきたルートから外れることや、まったく新しい道に踏み出すこともあるでしょう。もはや誰にとっても正解といえる安泰なルートは、存在しないのかもしれません。

そのような中で正解を見つけるためには、まず周りに惑わされることのない「自分にとっての幸せ」について真剣に考えること。そして、その幸せを実現させるために“今”の自分にフィットした働き方を、諦めることなく追求することが必要ではないでしょうか。

いきなり現状を捨てたり、大きな方向転換をしたりするには勇気が必要です。そんなときに副業は、これから進もうとしている道が正解なのか、自分に合っているのかを“お試し”するのに非常に有効な方法だと思います。

一般的に副業というと「会社の仕事に+αで収入を得よう」という意味合いの情報が多いかもしれません。しかし副業に挑戦する価値はお金以上に、本業では得られない新たな経験や、その経験から得られる自信の部分にあると、自らの副業を通じて実感しています。

また、もし現状の職場で閉塞感を感じていたり、人間関係に悩みを抱えていたりする人は、外の世界を見るという意味でもぜひ副業をおすすめしたいと思います。あなたを大切にしてくれる場所が、きっとどこかにあるはずです。

そして……実はこのほかにも、副業が私にもたらしてくれたものがありました。そのお話は、また次回に。

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