日本は海外と比べて、四季がはっきりしている地域です。春には桜、夏は海水浴、秋の紅葉に冬の雪景色と、それぞれの楽しみがありますよね。しかし、そうした季節行事の忙しさに加えて、季節ごとの気候や日照時間が私たちのメンタルに多大な影響を与えているんです。春夏秋冬、それぞれの季節が及ぼすメンタルへの影響を知り、各シーズンに受けやすいストレスを自分でマネジメントできるように、対策法をお伝えします。 Contents
季節ごとのストレスマネジメント法
春のストレスマネジメント
春は日本人にとって新しい出会いや始まりの季節。気温も徐々に上昇し、外出や活動がしやすくなり、桜やチューリップなどの植物が花開き、なんとなくワクワクする時期です。 科学的には春の訪れとともに日照時間が延び、脳内で「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌が活発になることで、気分が明るくなります。
しかしその一方で、卒業・入学・就職・転勤など環境の変化が大きい方も多く、人間関係の構築や新たな生活環境への適応が必要になります。なかなか自分に合わない環境だったり、今までの生活と異なる点がかなり多いと、ストレスや不安を感じやすくなります。

その上でゴールデンウィークの長期休みを挟むと、今まで走り続けていたときには気づかなかったストレスにふと気がついて、仕事に行けない、無気力になるというような「五月病」になる方もいます。
そうならないためにも、自分のストレスをしっかり自分で感じておくこと、そして予定を詰めすぎないこと、疲れたらしっかり休むことを大切にしてください。
夏のストレスマネジメント
夏は気温も高く日照時間も長いので、体内時計が安定しやすく、気分も比較的ポジティブになりやすい時期です。セロトニンの分泌が多くなり、精神的な安定に寄与します。なんとなく夏が好き!という人も多いですよね。
一方で、気温と湿度の上昇により、熱中症や夏バテといった身体的負担がかかりやすい時期です。更に、夜間の寝苦しさからくる睡眠不足はストレス耐性を低下させ、イライラや集中力の低下を招きます。
そこで、睡眠に関して一つ確認したいポイントがあります。この時期に「早く目覚めてしまって、睡眠時間が短くなるんです」という方はいませんか?もし遮光カーテンをつけていない場合は、ぜひ設置することをおすすめします。

人間は日光を浴びると、ホルモンが調整されて自然と起きるようなメカニズムになっているため、夏場に遮光せず早朝から朝日を浴びていると、早く目覚めてしまうのは普通のことなんです。睡眠不足を訴える方で、光や音、スマートフォンの使い方など環境因子によって自ら眠りづらい環境を作っている方も多く見受けられます。うまく眠れないという方は、睡眠環境を見直してみてくださいね。
また、SNSやメディアを通じて「夏は楽しまなければならない」という社会的なプレッシャーが強まることも、内向的な性格の人や疲れがたまりやすい人にとってはストレスの原因になります。こういった方が「SNSを見てもプレッシャーを感じないようになろう!」というのは正直難しい事です。こういった感情になる方は、一度きっぱりSNSを断ってみることをおすすめします。
秋のストレスマネジメント
秋は気温が下がり始め、過ごしやすくなる季節です。夏と冬は適温ではないし、春は花粉症があるし、秋が一番過ごしやすい!という方もいらっしゃるのではないでしょうか。 しかし、秋は日照時間が徐々に短くなっていくため、再びセロトニンの分泌量が減少していきます。これにより、気分の落ち込みを感じやすくなる人もいます。

“冬季うつ”という言葉を聞いたことがあるでしょうか。冬季うつとは、だんだん寒くなってくる秋から冬にかけて起きるうつ症状で、主に日照不足が原因とされています。症状は基本的にうつ病と同じく、気分が浮かない、やる気が出ない、なんとなく悲しくなるといった症状ですが、不眠よりは過眠傾向、食欲不振よりは過食方向に進み、そして何より「毎年同じ時期に繰り返す」ということが特徴です。
寒くなる秋は、この冬季うつの前兆が現れやすい時期なのです。ちなみに冬季ではなく夏季に抑うつ状態になる夏季うつという物もあり、それも併せて「季節性うつ」と呼ばれています。
夏季うつは冬季うつと反対で、不眠傾向、食欲不振傾向になることが特徴です。夏バテだと思っていたら夏季うつだったというかたもいらっしゃいます。夏季うつの場合は2〜3日休んだところで症状改善しない、毎年繰り返すと言うことが特徴になりますので、特定の季節に弱いという方は覚えておくと良いでしょう。
冬のストレスマネジメント
冬は一年で最も日照時間が短く、気温も低いため、なんとなくもの悲しくなる季節です。動物は冬眠し、草木も枯れていく季節。自然界はみんなお休みモードの季節ですね。本来は人間も動物ですから少し省エネモードにして、エネルギーを蓄えても良い時期。
しかし現代社会では、そんなことはできません。むしろ年末に向けて普段より仕事が忙しくなり、さらにはクリスマス、忘年会や新年会、成人式やバレンタインといった行事も目白押し。過去を振り返ってみると「冬は何かとバタついている」と感じる方も多いでしょう。

ですが、それは本来身体が求めていることからは逆行しているのです。冬は日光に当たる時間が極端に減るため、セロトニンやドーパミンの分泌が低下し、気分の落ち込みや無気力感が強まりやすくなります。特に寒い地方にお住まいの方はなおさら顕著にこれらのホルモンの分泌が下がってしまいます。
さらに、年末年始は一年の振り返りの時期でもあるため、自分の過去や未来に対して否定的になりやすく、自己評価が低下するという方もいらっしゃいます。
通年できるメンタルケア
日光を意識して浴びる
とくに秋や冬の終わりには、朝に散歩するなどして意識的に日光を取り入れることが、セロトニンの分泌に効果的です。どうしても焼けたくない!という人は掌を日光に向けておくだけでも効果あり!日光を浴びることはビタミンDを生成するため、メンタルだけではなく、骨粗鬆症の予防にも効果があるため、是非1日1回は日光を浴びる時間を作ってくださいね。
生活リズムを安定させる
やはり人間の基本は、睡眠、食事、運動です。これらが乱れると、心も体もバランスがとりにくくなりますし、逆にここを整えると心身の安定に繋がります。睡眠で言えば、長期休みが多い時期に、休みだから……とついつい朝寝坊をして、休み明けの身体が辛かったという経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。

休みの日の朝寝坊は開放感もあり、一時的には幸せな気分になるのですが、実は睡眠リズムを崩してしまう原因になることも。そのため、朝の起床時間を一定に保つことが大切です。長くとも普段の起床時間+1時間にとどめ、長く寝たいときには早めに寝るようにしましょう。
季節ごとの自分の傾向を知る
四季の変化は、私たちの心にさまざまな影響を与えています。自分がどの季節に落ち込みやすいか、逆にどの季節に活動的になるかを把握しておくと、先手を打って対策ができます。日記や気分記録アプリ等もありますから、ぜひ活用してみてください。
気分が落ち込む時期があるのは、自然のリズムの一部として当然のこと。自分の体と心の変化を丁寧に観察し、季節ごとのリズムに寄り添った生活を意識することで、メンタルの不調を予防しましょう!
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