前回、投資インフルエンサーのジェレミーさんに、ご自身のこれまでのパラレルキャリアの経験談からキャリア形成の思考や考え方についてお話しいただきました。今回は、何がそれほどまでにジェレミーさんを動かしているのか、また、大切にしている根幹の部分を聞きました。
Contents
相手を勝たせるために自分が勝つ
――余裕がある人にどんどんチャンスが舞い込んでくるというお話ですが、それほど多忙を極めるジェレミーさんが様々な事業を両立する際に、大事にしていることを教えていただけますか?
2つあります。1つはシンプルに、「ぼろ儲けする」ということ。しかも自分だけではなく、相手にも同様にぼろ儲けさせるということを重要視しています。そのことを僕はよく「勝つ」という言い方をしているんですが、本当に勝つことが大事。なぜなら、自分が勝つということは、自分だけが儲かっている状態だけではなく、自分の商品を買ってくれた人、シェアハウスに住んでいる人、ホテルを利用している人、コンサルを依頼してくれた人たちがぼろ儲けしている状態なので、「自分が勝つ」=「相手も勝っている」状態になるからです。
――どうしてそこまでぼろ儲けしなくてはならないのでしょう? ただ、儲かるだけではダメなのでしょうか?
平常時に薄利多売でギリギリの利益しか出していないと、今回のような有事の時にダメになってしまうんです。逆に、日頃からいいものを高く売っていれば、世の中もめちゃめちゃ儲かって、今回のような有事の際でも負けないんですよね。だから、ちゃんと利益を出して、相手方にももっと利益を得てもらって、勝ち続けてもらいたい。
今だと宿泊事業はかなり厳しいので、僕も民泊事業を一部撤退するんですが、その間でも会社のスタッフさんがちゃんとご飯を食べられる状態を継続できるようにする。有事の際でも、絶対に自分の会社を潰したくないし、自分が関わる人達へのリターンがある状態にしたい。死んでゲームオーバーになってしまったら元も子もない。だからとことん、勝ち続けることにこだわりたいと思っています。
――なるほど。大事なことはもう一つあると仰っていましたが、それはどんなものでしょうか?
はい。もう1つは自分の「時間給」が適切かどうかの把握をする、ということです。一時期Uber Eats事業とともに、シェアハウスや民泊事業をやりながらほかに2社手伝っていたんです。5つ事業を行っていて、自分より働いている人はいないんじゃないかというくらい働いていました。なので、めちゃくちゃ稼いでいたんですが、反対に時間がなかったんです。
そこで、そもそも自分がめちゃくちゃ儲かるってなんだっけって考えたときに、1日で稼ぐ金額や、あらゆる仕事における自分の1時間あたりの単価はいくらかというのを計算してみたんです。そうしたら1時間当たり1万円を下回っている仕事もあれば、1時間話しただけで10万円もらえるような仕事もあって。それなら10万円の仕事にフォーカスしたほうがいい。
どこに時間を投資するのがコスパがいいか、自分の年収がどの立ち位置にいて、そもそも高いのか低いのか、それに見合った貢献ができているのか。そうやって考えて、自分の価値を把握することも、あらゆる事業をやる上で重要になってきます。
――確かに自分の仕事を時給換算すると、「搾取されてない?」と思うこともありますもんね……。
そうそう。いわゆるフリーランス貧乏になってしまう人は、自分に来た仕事をありがたいからと思って、なんでも頑張って安く受けてしまうことがありますよね。でも僕は、安く受けるって逆に失礼だと思っていて。高いですけど、その分貢献できるように頑張りますというほうが相手にコミットしているってことだと思うから、自分の市場価値を下げるような値付けはしない。コンサル料でいうと1日20万から40万円いただきます。安くすれば最悪、「失敗してもごめんね」という責任逃れもできてしまうから、自分に逃げ道を作らない意味でもそうしています。
自分の信頼残高を貯める、その過程が楽しい
――時間給に対してシビアに考えていらっしゃるのかなと思う一方で、インスタで無償で相談に乗っていることなどもありますよね? 相反するようにも感じたのですが。
それには理由があって、お金を消費することよりも、お金がどう回るかに興味があるからなんです。つまり、稼ぐのが好きというだけで、使うことに興味がないんです。例えば、空いた時間で人に貢献するという点で、去年インスタで不動産やコワーキングスペース、コアラマットレス、高級中古車とかいろんなものを紹介して売っていたんですが、売れたものの総額を計算してみたら合計約5億円だったんです。
――すごい! 優秀すぎる営業マンですね!
この件に関しては1円ももらっていないのですが、インスタで活動した経済効果の売り上げが約5億円になります。これって、誰かに売りつけて自分の得を誰かの損にしたわけではないじゃないですか。自分しか知らなかったSPGカードも、みんなにも知ってもらえれば、みんなハッピーですよね。社会全体でいうとめちゃくちゃ利益が生まれているんです。
みんなに利益が生まれたり、嬉しさを受け取ったりしてもらえれば、僕も嬉しい。それに、ボランティアでやっている側面もある一方で、お金ではなく信用や信頼の蓄積をしていると思っています。
例えば、コアラマットレスもアフェリエイトリンクを貼ってやれば1台につき大体数千円もらえるんですが、アフェリエイトにしないで、みんなの割引が多くなるようなクーポンを配っていました。100台売っても数十万しか入らないので、だったらみんながちょっとづつ嬉しいとか、これが日本でいちばん良い商品で良い価格ですというものを紹介したいなと思うんです。
そうしたら、結果的に自分自身に信用が蓄積されて、信用の上位互換である信頼が積み重なっていく。「ジェレミーはめちゃめちゃいいやつだから、だまされてもいいや」くらいのレベルの信用を、信頼と呼んでいます。信頼は未来につながるもので、信用や信頼というものの方が、お金より価値が高い。なぜならお金の価値は減り続けているから。
――そうだ、前回の記事でもお話しいただきましたよね。
そうそう。自分自身がどれだけお金を稼いでもお金の価値は減っていくし、僕自身も使わないし、増える一方だからこれ以上増えないでくれと思ったりしてます(笑)。例えば、バナナ3万本あげますと言われてもいらないじゃないですか。僕に、10億円あげますと言われても、普通の人は嬉しいとは思うけど、僕自身は迷惑なんです。お金よりも信頼のほうが重要。もし、今全部の事業がダメになっても3年くらいは友達に頼って食いっぱぐれることはないし、住む場所も提供してもらえるくらいの信頼はあると思っているんです。なので、結果的に負けないというセーフティネットになっている。自分自身の信用・信頼が皆のプラスになっていて、そのことが嬉しいですね。
――本当に自分が勝つことで、周囲が勝ち続けるというサイクルになっていますね。
商売は基本的にそうだと思っているんですけどね。自分がいいと思ったものを売って、その対価でお金をもらう。売ったもん勝ちではなくて両方勝つ権利がある。かつ、相手が自分よりも勝っている状態の方が気持ちいいので、できればそういう状態で正々堂々と売ったり、提供したりすることを心がけています。
負の感情は捨てて、バッターボックスに立ち続ける
――成功体験が多いジェレミーさんですが、苦い経験をしたことってありますか?
よく聞かれるんですが、めっちゃ記憶力悪くて全然覚えてないんです(笑)。だいたい良いことはみんなに言いたくなっちゃうんで覚えているんですが、悪いことはマジで覚えてないです。
僕は仏教的な考え方が好きで、諸行無常という言葉があるんですけど、物事はうまくいっているときと、いかないときがあって、うまくいっている会社がずっとうまくいくということも絶対にないんです。なので、すべての関係性は移り変わっていくから良い経験も悪い経験もどちらもみんなしている。それが当たり前なので、それをどう捉えるかは自分次第だと思っています。ただ、その事実が存在するというだけのこと。
――そういえば、前回も不安になる必要はない、というお話をしていましたよね。
そうです。無駄じゃないですか。あんまり信じてもらえないですけど、僕も結構、根暗でネガティブなんです。小さい頃は引っ込み思案で喋るのも苦手で、スピーチの時とかめちゃめちゃ嫌だったんです。でも、結局嫌だと思うのも自分だし、緊張しているのも自分だし、だから全部自分で決められるはずなんですよね。結局は相手によく思われたいとかそういう感情からくるものだから、自意識過剰ですよね。
成功している人でも孤独死しそうな人がいる一方で、途上国で今日食べるものがない子どもたちや若者がハッピーということもあるじゃないですか。なので、本当に感情は自分自身次第なんです。
かといって僕も、幸せな時は幸せをかみしめるし、悲しい時とか、何かをやらかしたときに焦るといった感情もまったく出てこないってことはないです。ただ、その時に捉え方を変える。不安だと思ったら、ゴミだと思って感情を書き換える、もしくは悔しいとか悲しいといった気持ちを楽しむようにしています。
――ジェレミーさん、本当にブッダみたいですね! 煩悩とかそういうのに悩まされることがないんですもんね。
最近『全知全能』を目指していて(笑)。ふとした時に、今『全知全能』の方向に向いているだろうかと考えると、ほぼすべてのことが、ばかばかしい悩みだと思えるんです。誰かが活躍していて、誰かが活躍していないとか、ゴミのような考えなんです。僕自身、常に『全知全能』であるかどうかを立ち返って考えて、判断基準にしています。
――そんなジェレミーさんから、私達パラナビを見てくれている女性やオンラインサロン会員の女性たちにメッセージをいただけないでしょうか。
パラナビに関わろうとしている時点で、みなさんはすでにバッターボックスに立ち一歩を踏み出しています。それを粛々と、全力で楽しんでいければいいと思います。すべての不安はゴミなので、すべてを楽しんで、バッターボックスに立ち続ければいい。女性も圧倒的な自信を持っていていいんです。
僕の主観的な意見ですが、女性の多くは「自分はそんなことないです」と謙遜する人が多いじゃないですか。でも、そんなことしなくていいんです。出世や成功する人は、全然大したことないのに「僕にやらせてください!」と言い続け、バッターボックスに立ち続けた人が多い。そもそも、そこに立たないとヒットもホームランも打てないからです。へたくそでも別にいいから立ち続けること。僕も以前は人目を気にしてたんですが、他人は、たいして自分に興味がないっていうのを感じてます。だから、そういうのも無駄だと思って捨てて、打率が悪くても立ち続ければチャンスはあるので、立ち続けましょう。
――ジェレミーさん、今回も素敵なお話をありがとうございました! 是非次回は恋愛論もお聞かせください(笑)!
パラナビオンラインサロンでは、パラレルキャリアへの道をコミュニティでサポートしています。
前編はこちらから
Jeremy Tsang ● UCLA、香港大学院を卒業後、アメリカの大手投資ファンドに就職。その後独立し、民泊事業やUber Eatsの立ち上げ事業に参画。現在はシェアハウスを経営する傍ら、2棟のホテル経営を計画中。自身のインスタグラムでは、ストーリー配信で投資や不動産についての知見を惜しげもなく公開し、そのフォロワーは現在8,000人越え(2020年3月31日時点)。