Q.「仕事を受けすぎてパンクしてしまいそうです。上手い断り方や仕事選びの基準を教えてください」(美咲さん)
A.気まずさに遠慮しない!第二の被害者を作らないために勇気を出して伝えよう。
こんにちは。「パラキャリお悩み相談室」の連載を担当している坪井安奈です。2013年に新卒で入社した出版社を退職し、編集者/タレント/PRとしてパラレルキャリアを始めてから7年。(坪井さんのインタビュー記事はこちら) この連載では、私がこれまで感じてきたパラレルキャリアの実情や経験を赤裸々にお伝えしたいと思います。
Contents
「断りたい」ときの主な理由4つとは?
さて、今回は「仕事を受けすぎてパンクしそうだから、上手に断ったり、仕事を選んでいきたい」というお悩み。つまり、集約すると“時間と対価のバランス”のお悩みなのかなと思います。ひとまず、パンクしてしまうほど仕事の依頼が来ている自分を褒めてあげましょう(拍手!)
「できる人のところに仕事は集まる」と言われるように、きっと美咲さんは仕事をバリバリこなし、皆が頼りたくなる存在なのだと思います。 でも、パンクしてしまいそうと感じているなら、身体にも心にもよくありませんよね。ではまず、「断り方」について考えていきましょう。
実は、私も断ることがとても苦手です。好奇心旺盛なので何事もすぐに「面白そう!」と感じてしまいますし、お願いされると嬉しくてつい引き受けたくなってしまいます。ただ、それで数々の失敗もしてきましたし、今でもたまにします(苦笑)。
そんな経験から思うのは、こういう時にまず冷静に考えるべきは「断ろうか迷っている理由は何か?」ということです。美咲さんほど仕事が回せてバイタリティに溢れている人なら、「これはやりたい!」と思う仕事であれば、多少無理してでも引き受けるのではないかと思うんです。
では、断ろうかと迷っているのはなぜか。理由はだいたいこの4つに分かれるのではないかと思います。
- 内容が自分の専門外
- 物理的に時間が足りない
- 金額(対価)が見合わない
- 何かモヤモヤして引っかかる
そして、この中で断るのに気を遣いがちなのは③と④の場合が多いのではないでしょうか。率直に理由を伝えられる①や②なら、断り方に迷うことはあまりないと思うんですよね。厄介なのは、③や④の場合。③のようにお金が絡む話ってしづらいですよね。でも、これはきちんと伝えてあげた方がいいと私は考えています。
私の経験上、見合わない金額(対価)で依頼される時、相手は良くも悪くも“悪気がない”場合がほとんどだと思います。上から言われたままを提示していたり、単純に相場を知らなかったり、深く考えずに「とりあえずお願いしてみよう」と思っていたり。
そういう人には、気づかせてあげるのが優しさだと思うようになりました。本人のためでもありますし、今後、自分以外の第二の被害者を作らないためでもあります。 伝える瞬間は気まずさがあるかもしれませんが、我慢して引き受けてモチベーションが上がらないまま仕事をしなければならない方が地獄です。 勇気を出して、「普段、このくらいでお受けしていて……」と正直に伝えましょう。
また、④のように何か心の中で引っかかって、すぐにOKを出せない場合もあるかと思います。個人的には、④が一番、見て見ぬ振りをすると危険だと感じています。
人間の直感というのは恐ろしいもので、最初に感じたモヤモヤって、後から「やっぱりな」と思うような問題につながることが多いです。もし何かモヤモヤしているなら、その感情に向き合ってモヤモヤの正体をはっきりさせた方が良いです。そして、これも相手に素直に伝えて、事前に解消すべきだと思います。
結局のところ、楽な断り方というのはないんじゃないかなと思います。なんとなくその場でうやむやにすることはできても、後からもっと大きな問題やストレスに発展しかねません。その瞬間は、気まずさや罪悪感が生まれるかもしれませんが、勇気をもって伝えることをおすすめします。
「経験になるから」は意外と落とし穴
私が「仕事を選ぶ基準」も、先ほどの断り方を考えた時の4つの理由とほぼ同じです。ここでも③、④は少し複雑です。まず、③の金額(対価)が見合わない場合。もちろん、仕事をする理由はお金だけではないでしょう。なので、お金以外に納得できる対価があるなら、金額が安くても引き受けることもあるかと思います。 ただ、私が落とし穴になりがちだと感じるのは「経験になるから」という言葉です。これは、納得した気持ちになりやすい非常に危険な言葉だと思っています。
何事も「経験になる」のは当たり前です。重要なのは、「どんな経験になるのか」ということ。「経験」を対価として受け取る場合は、「自分にとってどんなプラスの経験になりうるのか」を具体的に言語化できる状態にしてから引き受けることをおすすめします。考えてみると当たり前のことなのですが、実は意外と「経験になる」という漠然とした言葉で満足している自分がいたりするものです。
また、仕事を選ぶ基準においても④の「モヤモヤ」と向き合うことが重要です。モヤモヤの中には、仕事をする上で自分が大切にしていること、倫理観やそれぞれの主義などが含まれます。これは根本的な価値観の部分でもあり、自分の中で変えるのが難しかったりもするので、何かモヤモヤする時は私は危険信号だと捉えるようにしています。
さらに、これ以外に私が仕事を引き受けないと決めているのは、「良い仕事<低予算」が目的になっている場合と、「前任の悪口を言う人」から依頼された場合です。
前者の場合、ゴールが「良い仕事をすること」でなく「低予算でやりきること」なので、関わっていてまったく面白さややりがいを感じられません。また後者は、「依頼の仕方が雑」だったり、「KPIが不明確」など、依頼者自身に課題がある場合が多く、結局自分も後から悪口を言われるだろうなと思うので、引き受けないようにしています。
以上が私なりの仕事を断る時の考え方と、仕事を選ぶ際の基準です。このように書いておきながら、美咲さんのお悩みは私にとっても目下の課題であったりします。 でも、「やりたいこと」を実現するためのパラレルキャリアなんだから、楽しくないと意味がない! 一旦、紅茶でも飲みながら、自分の心の声を聞いてみましょ♪
今までのお悩み相談はこちら
坪井安奈のパラキャリお悩み相談室「何かやりたいけど何から始めたらいいかわからない!」
坪井安奈のパラキャリお悩み相談室「独立を考えるなら準備は必要?」坪井安奈のパラキャリお悩み相談室「会社ではなく自分自身を頼ってもらうために心がけていることは?」
坪井安奈のパラキャリお悩み相談室「パラキャリするならどんな人との付き合いが大事?」
坪井安奈のパラキャリお悩み相談室「どうやって自己投資の時間を作っていますか?」
坪井安奈のパラキャリお悩み相談室「マネタイズできていないとパラレルキャリアと言えないでしょうか?」
坪井安奈のパラキャリお悩み相談室「活躍している人と比べて落ち込んでしまう。比べないためにはどうしたらいい?
坪井さんへのお悩み相談は、パラナビサークル会員から募集中!
坪井安奈(つぼいあんな)● ヒト・モノ・コトの魅力を伝える、複業複住タレント。新卒で入社した小学館を25 歳で辞め、編集者/タレント/PRとしてパラレルキャリアを始めて7年。29歳でシンガポールへ移住。毎月、海外を訪れる“月 1 海外”生活中。