Q.「コロナの打撃をもろに受け、会社の業績が悪くなりました。こんな時こそ、会社を辞めるべきでしょうか? それとも不景気だし、新しい仕事が見つかるかもわからないから会社に居続けるべきでしょうか? 坪井さんなりの判断基準があれば、教えてください!」(ようこさん)
A.「課題や制約」は悪いものばかりじゃないかも? あなたにとって“アリ”or“ナシ”を考えよう。
こんにちは。「パラキャリお悩み相談室」の連載を担当している坪井安奈です。2013年に新卒で入社した出版社を退職し、編集者/タレント/企業広報としてパラレルキャリアを始めてから8年。(坪井さんのインタビュー記事はこちら) この連載では、私がこれまで感じてきたパラレルキャリアの実情や経験を赤裸々にお伝えしたいと思います。
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課題や制約、すべてが悪いわけじゃない
さて、今回は「コロナで会社の業績が悪化し、会社を辞めようかどうしようか」というお悩み。つまり、「会社を辞める判断基準」についてです。
今、コロナ禍で辛い状況にいらっしゃる方は少なくないと思います。ようこさんのお仕事がどういったものかはわかりませんが、まずは本当にお疲れさまです。こんなご時世、今後の仕事や働き方をどうしようか考えてしまいますよね。
コロナ禍は、多くの人にとって働き方を見直すきっかけになっていると思います。ただ、ここでは一旦コロナに限らず、「退職や転職のタイミング」についてまず考えてみましょう。
退職や転職の理由は人によってさまざまです。なかには、ポジティブな理由で辞める人もいるかもしれませんが、今の仕事に100%満足していたら辞めるという選択肢を取らないと思うので、退職や転職を決意したのなら何らかの「課題や制約」があるはず。
個人的には、「課題や制約」はすべてが悪いわけではなく、“アリ”なものと“ナシ”なものの2つに分けられると思っています。
自分次第で楽しめる可能性があるなら“アリ”
では、どんなものがアリな「課題や制約」なのか?
私は、自分自身の工夫や努力によって解決できたり、楽しめる可能性がある「課題や制約」は、“アリ”と感じる場合があります。
たとえば、私は新卒で出版社に入社したのですが、当時から出版業界は今後売り上げなどが厳しくなっていく「斜陽産業」だと言われていました。けれど、私はそれを知りながら出版業界に身を置くことを決めました。なぜか? 当時の私にとって、その「制約」は“アリ”だと思ったからです。
私は、クリエイティビティというのはまったくの自由からではなく、制約の中から生まれるものだと思っています。なので、なんらかの縛りがあった方が新しいアイデアや発想が生まれて、面白い経験ができるだろうと思ったんです。ちょっと天邪鬼にも聞こえますが(笑)。でも、たとえ紙媒体が廃れていっても、ゼロになることはないと感じていましたし、出版社のコンテンツ力はほかに活かし方があると信じていました。そこにあえて挑戦してみたいと思っていたんですよね。
もちろん、一般的には成長産業に身を置いたほうが安定しますし、職場の雰囲気も良く、挑戦できる機会も多いでしょう。でも、成長産業にいれば誰も辞めないのかと言ったらそういうわけでもないので、退職や転職の理由は本当に人それぞれです。
自分ではどうしようもできないと判断したら……
では、一方で、私が“ナシ”と感じる「課題や制約」とはどういうものか?
それは、先ほどの逆で、自分自身の工夫や努力ではどうにもならない場合です。
たとえば、私は結果的に2年弱で出版社を退職することになるのですが、その時に「制約」となったのは、就業規定で「副業/複業が認められていないこと」でした。
これは自分の力だけではどうにもできません。規定を変えてもらうよう掛け合うことはできるかもしれませんが、実際に認められるまでにかなり時間を要します。でも、私はそれを待つ時間的余裕はありませんでした。
なので、私は当時この制約を“ナシ”と判断し、退職するに至りました。
今の私の例のように、「課題や制約」は全員にとって必ずしも悪なわけではありません。
だから、今回ようこさんが悩んでいる「コロナで業績が悪化した」ことは、一概に“ナシ”とはならないかもしれません。「やり方次第で好転する可能性はあるのか?」「コロナが明けたら解決するのか?」「コロナ以外で業績が悪化した時にはどうか?」など、ぜひいろいろな視点から自分に問いかけてみてください。もしかしたら、ようこさんが本当に“ナシ”と感じる「課題や制約」はその先に見つかるかもしれません。
そして「課題や制約」を洗い出せたら、ようこさん的に“アリ”or“ナシ”に分けてみてください。これを考えることは、自分の中の優先順位や譲れないポイントを探ることにもつながります。
とはいえ、会社が倒産してしまっては大変なので、会社の業績や状況にかかわらず「転職活動」自体はいつでもしておけばいいと個人的には思います。外の世界に目を向けることで、自分の今いる場所を客観的に見られるようになり、冷静に判断できることも増えます。
かく言う私も、コロナ禍では漠然とした不安に襲われては持ち直し、アップダウンの繰り返しです。
「コロナをプラスに」と簡単には言えないですが、せっかく今感じているモヤモヤをそのままにせず、自分を深く知るきっかけにしていきましょう!
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坪井 安奈
Tsuboi Anna
坪井 安奈
Tsuboi Anna
Profile
パラレルキャリア8年目。新卒で入社した小学館を25 歳で辞め、ベンチャー企業やスタートアップ、海外(シンガポール)法人などで働いた後、個人事業主として独立。現在は、編集者/タレント/企業広報をツールに、伝え手として活動中。